30度を超える暑さと湿気の日々が続く中、カビによって皮膚が炎症を起こす「マラセチア毛包炎」の患者が相次いでいるという。東京八丁堀皮膚科・形成外科の平山真奈院長に、原因や症状、さらに予防法を聞いた。

高温多湿で肌の常在菌が増殖

ーー夏にかけて増える肌トラブルは?
暑くなると汗をかきやすくなるので、あせもや膿などの相談が増えます。また湿気が多い時期には、もともと人間の皮膚に常在しているカビが増えてしまう「マラセチア毛包炎」や「癜風(でんぷう)」の患者が増えます。

当院ではニキビの診療をすることが多いので、ニキビに似た発疹のマラセチア毛包炎の患者を診ることが多いですが、スポーツをする男性や10代の若い人には「癜風」の患者も多いです。

東京八丁堀皮膚科・形成外科 平山真奈院長
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ーー「マラセチア毛包炎」はどういった疾患?
マラセチア毛包炎は、胸や背中といった汗をかきやすい場所にプツプツとした、白や赤、または少し光沢を持った発疹がたくさんできます。ニキビにとてもよく似ているので、「治りにくいニキビができた」と思って来院される方が多いです。

発疹の分布や1つ1つの形状が特徴的で、それらを診てマラセチア毛包炎と診断します。女性の場合、胸の中心から鎖骨の下にかけてのV字ラインのところに小さい粒々した赤い発疹が出ます。

背中だと、ブラジャーの紐と紐の間の部分にあたる背中の真ん中に赤い発疹ができます。あせもと違ってかゆみや痛みがほとんどなく、何となくできてしまい、いつまでも治らない赤い発疹といった感じです。

マラセチア毛包炎(提供:目黒駅前アキクリニック)

ーー「癜風」はどういった症状?
癜風(でんぷう)は、胸や背中などの油の多い部分にもともと常在している「癜風菌」といわれる真菌(カビ)が増えてしまい、茶色っぽいまだら模様の発疹ができます。

診察ではその部分をこすると粉を吹くので、それを顕微鏡で観て癜風菌を確認します。癜風もかゆみや痛みなどの自覚症状はほぼありません。そのため、知らぬ間に広がっていて気付いた時には結構たくさんあるというケースが多いです。

汗ばむ季節に要注意

マラセチア()包炎は、誰の皮膚にもいるカビの一種が毛穴で増えて炎症を起こすもので、“高温多湿”の汗をかき始める時期に増え始めるという。

マラセチア菌(提供:甲子園栗木皮膚科クリニック)

ーー時期的にはいつ頃から増える?
梅雨の時期から秋口にかけて汗ばむ季節に増えます。汗や皮脂が出てくる場所に出来やすく、今年のように梅雨が遅れてやってくると、湿気と暑さが同時に来て、汗をかきジメジメする状態が長く続くことから、マラセチア毛包炎も癜風も増えています。

例年だと先に湿った時期がやってくるので6月頭からまばらに患者が来ますが、今年は雨の日と高温の日の間に多少涼しい乾燥した日があったため、出だしが遅くて6月末から急に相談が増えました。

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ーー症状が悪化する環境と治療は?
マラセチア菌も癜風菌も気温が高く湿気が多い時期を好みます。治療としては塗り薬を1日に2回以上塗ることになりますが、塗った薬が汗で流れやすい今の時期は比較的長引きやすいです。

天然繊維の肌着と汗をかいたら着替え

すでに連日30度を超え湿気も多い中、我々はどういった対策がとれるのか。

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ーー発症する年代と時期は?
体から出てくる油が多い世代にできやすいので、10代後半から40代半ばぐらいまでが多いです。時期的には乾燥して涼しくなってくる10月~11月ぐらいに収束することが多いですが、スポーツの習慣がある人は一年中繰り返しやすいです。

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ーー予防法は?
まず、汗をかいたらすぐに拭いて着替えることが大事です。また、肌着は汗を吸収しやすく、蒸発させやすい天然繊維などの素材を着ることをおすすめします。

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