列島を襲う40度近い連日の猛暑。危険な暑さに自ら“SOS”を訴えることができない赤ちゃんにとって大きなリスクとなっているのが熱中症だ。親はどういった点に注意すれば異変を察知できるのか。赤ちゃんや幼児が発する異常サインと対策について、竹内内科小児科医院、五良会クリニック白金高輪の五藤良将理事長に話を聞いた。

「目のくぼみ」や「皮膚の艶(つや)」

ーー赤ちゃんの熱中症患者の動向は?
赤ちゃんは熱中症、脱水症になりやすいです。成人は体重に対する水分の割合が約60%と言われていますが、小児は約70%です。汗などで水分を失いやすく、しかも小さい子供の場合は脱水症を自分で訴えることができないので親が注意して気付いてあげなくてはいけません。

竹内内科小児科医院 五良会クリニック白金高輪の五藤良将理事長
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ーーどういった症状が出る?
初見としては、ぐったりしていて元気がない、目がくぼんでいる、皮膚のぷにぷに感、艶がないなどといった「ツルゴール(皮膚弾力性)の低下」があります。

また、呼吸が早い、おしっこが黄色く濃かったり、出てなくておむつが濡れていない、泣いているけど涙がない、口の中が乾燥しているなどのサインも見られます。

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こうした異変がないかを細やかに観察して早急に水分を補給したり、涼しい環境に移動することが大切です。

重症脱水症になった場合は入院して点滴をする必要がありますが、ゼロ歳児だと血管を確保することが難しいので、点滴そのものが困難になります。

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ーー意思表示ができる年齢の子どもの場合は?
熱中症には3~4段階ありますが、まずは、痙攣や頭がボーっとするなどの意識障害は危険なサインです。高熱が出る、おしっこが出ない、食欲がない、喉が渇くけど水分が摂れないなども異常な所見です。

重症になると吐いてしまうので吐き気も注意が必要です。

経口補水液や麦茶で水分補給

熱中症対策としては、ベービーカーの赤ちゃんは背もたれに熱が籠りやすいため氷のうなどで冷やしたり、定期的に水分補給を行い、表情や体温をしっかりと確認することが重要だと五藤理事長は話す。

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ーー有効な熱中症対策は?
こまめに水分を摂ることと、暑すぎる環境はなるべく避け、日常的に十分な睡眠をとって疲れを溜めないこと、そしてしっかりと栄養を摂ることが大切です。

また、外出時は日傘をさしたり、部活動などで屋外活動する場合は責任者がしっかりと安全対策を講じて部員の表情を確認することなどが基本になります。

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最近のベビーカーは日差し対策はできていると思いますが、赤ちゃんは汗をかきやすく背もたれに汗が溜まり熱が籠りやすいので、氷のうなどで冷やしたり、定期的に水分補給して表情をしっかり確認することが重要です。

小型の扇風機は効果がないわけではありませんが、暑い空気を送っているに過ぎないので根本的な熱中症対策にはなりません。冷却シートなども一時的な対策にしかならないので、こまめに体温を確認して、異常な体温を感じたら氷のうなどでしっかりと冷やし、冷たい飲料水を定期的に飲むことが大事です。

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ーー飲み物は何が効果的?

一番効果的なのは、吸収の良い経口補水液といわれるものです。一方であまり良くないとされるのは真水です。吸収が悪くて胃がタプタプしてしまい、胃腸が弱っている状態だと吐いてしまったら余計に脱水を助長してしまいます。

何も飲まないよりは良いですが、真水よりはミネラル成分が入っている麦茶などを飲む方が有効的です。赤ちゃんの場合は、母乳は栄養価が高いですが、比較的濃いので経口補水液なども併用してほしいと思います。

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