秋田県内を襲った記録的な大雨から2週間。被害の全容はいまだ明らかになっていないが、浸水などの住宅被害はこれまでに278棟に上っている(8月6日午前8時半現在)。

生活再建の後押しになることの一つがボランティアの力。連日各地で多くのボランティアが暑さと闘いながら活動している。被災地の現状、そして求められていることは何か。にかほ市の災害ボランティアセンターで活動する日本赤十字秋田短期大学の及川真一さんに聞いた。

にかほ市琴浦地区は2週間前の大雨で大きな被害を受けた。

現状について及川さんは「崩れかけているところを応急的に処理を終えている状況だが、あくまでも応急処理が終わっているだけであって、元通りの生活ではない」と説明する。そして、寄り添っていくことに心をくだいているという。

「毎日いろんな人が入ってきているし、毎日声をかけることによってたわいのない話も出てくる。現場によっては笑い声もあったりするが、住民からすると『1人で家にいると悪いことばかり考える』という人が多いので、その点は市社協も市も丁寧に家々を回って『大丈夫?元気?』と声をかけ、ニーズが完了した家も回っている状況」と及川さんは話す。

にかほ市の災害ボランティアセンターは、7月30日に立ち上げられた。県内の個人・団体を対象に災害ボランティアを募集していて、8月5日までに秋田市や横手市、大仙市などから延べ160人が参加した。

7月の大雨で琴浦地区は川の水があふれ、多くの住宅が浸水した。いまは川の流れが穏やかになり、地域の復旧が進んでいるように見えるが、及川さんは「ニーズが完了したから終わりではなく、終わった家でも改めて訪問すると、『実はこういうことがあるんだ』とか、なかったとしても話を聞くだけでも全然違うので、今度は細かな対応が必要になってきている」と話す。

「本荘のほうが被害が大きかった」「どこかのほうが被害が大きかった、にかほは少ない」と住民は話しているという。しかし、及川さんは「何件という件数ではなく、1件でも被害に遭った人がいればより多くの人手が必要だという考えを持った人が集まってきているので、件数ではなく、1件でも丁寧に対応するということをやっている」と強調する。

及川さんが強調するのは、地域の人たちと「信頼関係を築くこと」の大切さだ。

 日赤秋田短大・及川真一さん:
「住民と同じ目線で朝・昼・晩、ずっとこの地域を回って声をかけて、なじみの関係のような状況ができているので、ボランティアの手がいらないから終わりではなく、ここから生活再建に入っていくときにさまざまな問題が出てくると思う。そうしたときに寄り添っていけるようにしていきたい」

生活が元通りになるまで、ある程度関係性をつないでおくことも重要だという。

及川さんは「なんでもない状況でも『おはよう・こんにちは・こんばんは』という挨拶をする。そうして顔を認識してもらって、気兼ねなく声を上げやすくする。自分の悩みなどを言いやすい環境づくりがこれからここには絶対必要だし、そういうサポートをいまやっている」と語った。

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