埼玉県北西部にある小鹿野町でカモシカが農作物を食い荒らすなどの被害が相次いでいる。しかしニホンカモシカは「特別天然記念物」に指定されているため、捕獲や駆除は原則禁じられている。
では畑や住宅の敷地内でニホンカモシカを見かけたらどのように対応すれば良いのか。“ヒトとカモシカの共生”を掲げる三重県菰野町役場の南川文裕さんに話を聞いた。
ヤギに近い“牛”の仲間
ーーニホンカモシカはどういった動物?
名前に「シカ」が入っていますが、厳密にはウシ科の動物です。シカとは違って平地ではなく岩場や山場に生息しています。
バランスをとって急傾斜地や細い山場を上る動物なので、平地を俊敏に走ったりはしません。牛の仲間ですが、牛というよりもどちらかというと山場や岩場に生息するヤギに近いイメージです。
ーーニホンカモシカを見たらどう対応する?
基本的には人に危害を加える動物ではありません。鹿やイノシシみたいに人に向かって走ってきたり、威嚇などはしないし、むしろ人間を見つけたらゆっくりと下がって山の中に入っていく動物です。
角もありますが人を襲ったりすることはまずしないので、大きな音を出したりすれば逃げていきます。怖がらず是非見守ってあげてほしいと思います。
三重県菰野町でも人に突進してきたり、噛み付いたという事例はないので、安心して対応してもらえたらと思います。ニホンカモシカを目当てに登山される人もいて、会えたら本当にラッキーな動物です。
温かく見守って「共存」を
埼玉県では今月13日、イチゴ畑が荒らされたり、カモシカが家の中に入り込むといった騒ぎが起きている。
こうした被害について南川さんは、「カモシカは大きくなっても体重は40キロほど、高さは1メートルいかない」とした上で、網や柵を設置し“共存”する道を探ってほしいと話す。
ーー埼玉県では農作物の被害が出ているが有効な対策は?
網を設置したり、電気柵も効果がありますが、臆病な動物なので大きな音が鳴るようなものも有効です。例えば、車で移動している最中だったらクラクションを鳴らせば逃げていきます。
カモシカは山場や岩場に生息する動物なのでジャンプはしますが、柵や網を飛び越えるほどのジャンプ力はありません。また穴を掘ったりすることもないので、農作物の被害を防ぐためには、高さ1メートルほどの一般的なシカ除けの網や柵があれば十分だと思います。
ーー遭遇したら?
基本的には山に住んでいる動物なので、何らかの環境の変化で人里に降りてきているのだと思います。好き好んで農作物を荒らしているわけではないので、優しく見守って山の方に追い返してもらえたらと思います。
親子で行動することが多く、大人しい動物です。見かけたら温かく見守って、共存する道を模索してほしいと思います。
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