滋賀県立琵琶湖博物館と龍谷大生物多様性科学研究センターの共同研究グループは8日、人工的に品種改良された観賞魚メダカを県内の野外水域で初めて発見したと発表した。品種改良された観賞魚は国外外来魚、国内外来魚に次ぐ「第3の外来魚」として、在来種の遺伝的特性を乱す大きな脅威となる。研究グループは「観賞用メダカの放流は絶対にしないでほしい」と呼びかけている。
近年の観賞魚ブームでメダカ人気が高まるのに伴い、体が青く輝く改良種「青メダカ」などが放流され、全国の野外水域で相次いで発見されている。研究グループは昨年7月に大津市田上里町の池で青メダカ3匹、今年4月に大津市下阪本の琵琶湖岸で、より広範囲に青く輝く「青体外光メダカ」1匹を採集した。研究グループによると、田上里町の池は接続河川がない閉塞(へいそく)した環境で、見つかったうちの1匹は脊椎(せきつい)骨に湾曲が見られるため、養殖業者が販売に適さないとして放流した可能性もあるという。
琵琶湖博物館の川瀬成吾学芸員は「草津市の狼川や十禅寺川、彦根市の犬上川でも発見例が報告され、観賞用メダカの分布は県内全域に広がりつつある。青メダカは目立つため野外水域では捕食されやすいが、在来種と一度交雑すると遺伝子的に取り返しがつかなくなる」と指摘。「何らかの理由で飼えなくなった愛好家が『殺すよりは』と放流するのだろうが、それは善意の自然破壊。メダカの寿命は1~2年程度なので、最後まで責任を持って面倒をみてもらいたい」と訴えている。【礒野健一】
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