夏の強い日差しを浴びてしまい、日焼けした肌がヒリヒリと痛む…。そんな経験は誰しもあるだろうが、そこまで強くない日光を浴びた後「肌がかゆくなった」「じんましんのようなブツブツが出た」ということはないだろうか。
そんな肌トラブルを見て「うっかり日焼けしすぎた?」と思ったことのある人は、もしかしたら“日光アレルギー”を見過ごしてしまっていたかもしれない。
そもそも“日光アレルギー”とはどんなものなのだろうか?普通の日焼けとは何が違うのか?「巣鴨千石皮ふ科」の小西真絢院長に話を聞いた。
日焼けとの違いは「わずかな日光でも発症」
「日光アレルギー(紫外線アレルギー、太陽アレルギー)」は、正しくは「光線過敏症」といい、日光に当たることで皮膚にかゆみや赤み、発疹などが生じる病気のこと。
具体的な症状としては、
・赤みや大きな発疹、かゆみが出る(「日光じんましん」)
・ブツブツした発疹が出る(「多形日光疹」)
・湿布や塗り薬を使った部分が赤くなる
などがある。
また他にも、特定の種類の薬を服用した後に日光を浴びると発疹が出たり、免疫にかかわる病気に伴って光線過敏症になることもあるという。
“日光アレルギー”が日焼けと違うのは、これらの症状が「通常では反応が起きないような、わずかな量の日光でも起きる」というところだ。
「海に行った・屋外に長時間いたなどして『肌が赤くなる・水ぶくれが起きる』というのは、普通の日焼けです。一方、多量の紫外線にさらされた心当たりがなく、肌が真っ赤になるなどの症状が出た場合は、“日光アレルギー”(光線過敏症)が疑われます」
日焼けとの見分け方は?チェックポイント
一般的な日焼けは日光に当たってからじりじりと赤みや痛みが出たりする。しかし日光アレルギーの症状のひとつ「日光じんましん」は日差しを浴びてからわずか数分で発症し、数時間以内には消えてしまうことが多く、「多形日光疹」は日差しを浴びてから30分後~数時間後に突然発症する傾向にあるそうだ。
また、湿布薬や塗り薬を塗った肌が日光に当たることで発症することもある。
特に湿布は症状がわかりやすく「湿布をはがした跡そのままの形に皮膚が赤くなる」などの症状で現れる。
そのため「湿布にかぶれた?」と思ってしまうかもしれないが、これは肌に残った湿布の成分が日光と反応することで起きるのだという。
もし「これってただの日焼け?それとも“日光アレルギー”?」と気になった場合は、以下の点が自分に当てはまるか確認してみてほしい。
【“日光アレルギー”チェックポイント】
・多量の紫外線を浴びていないのに、肌に赤みや発疹・かゆみなどが出た
・赤みや発疹・かゆみなどの症状が「短時間で出て、短時間で消えた」
・症状が「日光に当たってから数時間後」に出た
・湿布をはがした場所や塗り薬を塗った場所が、その形のとおりに赤くなった
命にかかわる“重症化”はしない
小西院長によると、“日光アレルギー”は20~40代の女性に多くみられるが、ある日突然発症し、その原因がはっきりとわからないことが多いそう。
日焼け止めを塗るなどで防ぐこともできるが、紫外線でなく可視光線が原因となっている場合もあるため、基本的な予防法は「日光を浴びないようにする」ことしかないという。
しかし、“日光アレルギー”という呼び名から勘違いする人もいるだろうが、“日光の浴びすぎ”などで発症するものではない。また、日光を浴び続けても命にかかわるような症状が出たり、重症化したりすることもないという。
「“日光アレルギー”(光線過敏症)の症状は、いわゆる“重度のアナフィラキシー”のような状態にまで進行したり、命にかかわるということはありません。皮膚がかゆくなるといった症状がほとんどで、じんましんは時間経過とともに消えますし、症状が重くなっても水ぶくれができる程度にとどまります」
小西院長によると、症状が出たあとでもしっかりと紫外線を防いだり、市販のステロイド外用薬を塗ったりして症状が治まった場合は、受診の必要などはないそうだ。
ある日突然、経験のない皮膚トラブルが出てしまったら驚いてしまうかもしれない。しかし一度“日光アレルギー”の症状が出ても、今後絶対に日光を浴びてはいけない・湿布が貼れないということではない。日焼け止めや日傘、アームカバーなどをうまく利用して紫外線を防いでほしい。
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小西 真絢
日本皮膚科学会認定専門医。杏林大学医学部医学科を卒業後、東京医科歯科大学皮膚科、総合病院等の勤務を経て、現在は「巣鴨千石皮ふ科」の院長を務める。「目に見える異変は何でも相談できるホームドクター」として、プライマリケアを重視した診療を行う。
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