岸田総理が、来月の自民党総裁選挙に立候補せず、退任する意向を明らかにしました。

岸田総理
「自民党が変わることを示す最もわかりやすい最初の1歩は、私が身を引くことであります。私は来る総裁選には出馬いたしません」

派閥の裏金事件で明るみに出た政治とカネの問題の責任を取るとしました。

岸田総理
「所属議員が起こした重大な事態について、組織の長として責任を取ることにいささかの躊躇(ちゅうちょ)もありません。今回の事案が発生した当初から思い定め、心に期してきたところであり、私が身を引くことでけじめをつけ、総裁選に向かっていきたい」

淡々と語る一方で、「今日まで取り組んできた政策課題における成果、これは大きなものがあったと自負しております」と力を込めました。

自画自賛した2年10カ月。
“聞く力”をアピールして総裁の座を勝ち取り、反撃能力の保有や防衛増税、原発の建て替えや、60年超の運転容認を決定するなど、これまでの政府方針を次々と転換。政権支持率が、旧統一教会をめぐる問題を受けて下降するなか、ウクライナを電撃訪問するなど、外交で持ち直し、去年5月には、広島でのG7サミットの開催も実現させました。

しかし、秋以降は、政治とカネをめぐる問題が表面化します。自ら派閥を解消し、政治資金規正法を改正。それでも、支持率は2割前後で低迷を続けます。

政権浮揚を狙った所得税減税を打ち出すも、総理の独断が目立つ場面が多く、党内からも公然と“岸田おろし”の声が上がっていました。

国民からも、党内からも支持が離れるなか、歴代8位の長期政権は幕を下ろすことになります。

自民党・小渕優子選対委員長
「執行部の一人としては、総理総裁を十分にお支えできなかったことについては、大変申し訳ない思いでいます」

次を担うのは誰なのか。

早速、名乗りを上げたのが石破茂氏。世論調査でもトップの支持を集め、知名度の高さが強みです。

自民党・石破茂元幹事長
「私のような者でも、一緒にやろうという方々、総裁選に推してやろうという方々が20人おられれば、ぜひとも、総裁選に出馬したいと思っております」

これまで出馬に言及してこなかった小泉進次郎氏。いよいよ本格始動するのかどうか、地元・横須賀市では、早くも期待の声が上がっています。

この2人が前回の総裁選で推したのが、河野太郎デジタル担当大臣です。最近になって“脱原発”の持論を封印。総裁選に向けて、党内の支持拡大を狙っているとみられます。

“三頭政治”と呼ばれ、麻生副総裁とともに岸田総理を支えてきた茂木敏充幹事長も、意欲を燃やしている一人。水面下で動き始めています。14日夜、麻生副総裁と赤坂のステーキ店で会食。自身の出馬についても、相談したものとみられます。

自民党・茂木敏充幹事長
「(Q.総理の決断については)重く受け止めています」

若手議員を中心ににわかに立候補を後押しする動きが出ているのが、小林鷹之氏です。2012年に初当選し、経済安全保障担当大臣を経験。

自民党・小林鷹之前経済安保担当大臣(6月)
「(Q.総裁選への出馬の意欲は)いつか国のかじ取りを担っていきたいという覚悟を持って、政治の世界に飛び込んできた」

お盆休みの永田町に、突如、鳴り響いた総裁レースの号砲。多くの議員は、地元で知ることになりました。なかには、旧派閥のメンバーで集まったという議員もいます。

自民党・小野寺五典元防衛大臣
「意見・情報交換をしっかりしながら、対応していきましょうと」

これまでは派閥の論理で票が動いてきた総裁選。麻生派以外の派閥が解散を決めたことで、変化に期待する声もあります。

自民党・平将明衆院議員
「麻生さんみたいな長老が、キングメーカーのように跋扈(ばっこ)するような総裁選をやったら自民党は終わる」

総裁選は、自民党にとって、次の選挙を戦うための顔選びでもあります。

自民党・閣僚経験者
「刷新感が出て、なおかつ安定感のある人は誰なのか。それをみんな必死に考える1カ月だろうね」

当の岸田総理が“後継者”に期待することについて、こう述べました。

岸田総理
「政治とカネの問題、政治の信頼回復の問題について、一連の改革努力が続けられてきましたし、これからも続けていかなければなりません。改革マインドが後戻りすることがないような方であってもらいたい」

次の総理が背負うことになる政治とカネの問題。前の国会で政治資金規正法は改正したものの、お金の流れの透明化に向けた具体的な内容は、今後の検討課題として積み残されています。

街の声です。

「誰がやるのか。誰が代わっても、裏金問題でちゃんと反省した人はいるのか」

「いまの経済情勢を立て直してほしい。この物価高を」

「若い人の方がいい。もう高齢の方は引退してほしい」

「若い人が子どもを生みたいと思える日本にしてもらえたらいい」

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