森を育てて移住者を呼び込む、小さな村が描く大きな未来に迫りました。

一時は消滅するかもしれないと危惧された小さな小さな村。
その村をよみがえらせたのは、この土地の宝である豊かな自然と、この土地を愛する人々の熱い思いでした。

岡山県北東部に位置する西粟倉村。

人口約1300人。
コンビニは1軒もなく、信号も2機しかないこの村が、2008年から取り組んでいるのが「西粟倉 百年の森林(もり)構想」です。

西粟倉村・上山隆浩副村長:
百年の森林構想は実は平成の大合併、平成16年(2004年)なんですけれども、住民の6割が「合併をしない」という選択をしたので、財政が1番厳しいような小さな村が合併せずに残っていけるのかという大きな課題がありまして。

そこで目をつけたのが、村の面積の9割以上を占める広大な森林です。

このスギやヒノキの人工林は世代を超えて受け継がれてきた村の宝物。

これを最大限に活用することで、子や孫へ受け継ぐ活気ある豊かな村へ生まれ変わろうと、村の内外へPRを始めたのです。

2017年に移住してきた田畑直さん。
前職はIT系のベンチャー企業で、移住後、森林の調査・管理を請け負う会社を立ち上げました。

株式会社百森・田畑直共同代表:
僕自身は別に山に興味があったわけではなかったけど、林業のことをちょっと知ろうよということで友達と遊びに何回か来ているうちに、これは面白いからやってみようという流れになった。

より良い品質の木々を育てるため、山林の調査や作業道の設計など、やるべき仕事はまさに“山積み”。

こうした木材などを使い。家具の製造・販売などを行っている大島正幸さんも移住者の1人です。

株式会社ようび・大島正幸代表取締役:
僕が移住したのは2009年8月6日です。この村に来て百年の森林構想で家具を作ると、家具を作った人たちを喜ばせるだけではなくて、振り返ったら、森とか地域がきれいになっているということができるなと思った。

自分たちの喜びが地域の喜びへと広がり、未来の子どもたちへとつながる。

こうしたビジョンに共感した人が集まり、これまでに起業した会社の数は約50社。

今では村民の約2割が移住者に。

10年前のある調査で、西粟倉村は将来消滅する可能性がある自治体の一つとされていましたが、2024年に発表されたリストからはその名前が外れました。

株式会社百森・田畑直共同代表:
何かまだ成功しているわけではないと思うけど、成功に向かってみんなでもがいているのが結構面白い。

株式会社ようび・大島正幸代表取締役:
素直にやりたいことやチャレンジに没頭できる。この村のいろんな政策が合わさったうえでできている、移住者を迎えるカルチャーが、この村のすごい魅力。

西粟倉村・上山隆浩副村長:
もともとある最大の資源をしっかり使うことでそこにビジネスモデルが生まれる。それに付随して、教育・介護・福祉医療とかソーシャルなビジネスも底辺として広がってくる。地域が持っている力みたいなものを最大限に発揮できるような仕組みをこれからも続けていく。

小さな小さな村の大きなチャレンジ。
西粟倉村はこれからも未来へ向けて歩みを進めます。

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