長崎県で手足口病の警報レベルが8週連続で続いている。過去10年で最長となる可能性があり、県は警戒を呼びかけている。子どもだけでなく大人も油断できないこの感染症について、最新の状況と注意点を探った。

警報レベルが過去最長に⁉その実態は

長崎県の手足口病の感染状況が例年にない様相を呈している。県の感染症情報センターによると、第32週の定点当たり報告数は「10.23」で、8週連続で警報レベル開始基準値「5.0」を超えた。過去10年を振り返ると、2013年と2019年に8週連続の警報レベルの流行があったが、その時は8週目には既に減少傾向にあり、9週目には警報解除となっていた。

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しかし、2024年の状況は異なる。警報開始基準の「5」を超えて以降も「10」前後の高い水準を維持したままだ。長崎県感染症情報センターは、9週目以降も「警報レベル」が続く可能性が高いとしており、9週連続となれば過去10年で最長記録となる。

地域別でも県内10保健所のうち、五島、壱岐を除く8保健所で警報レベルの報告数となっており、広範囲にわたる流行が確認されている。

「一度かかるともうかからない」は間違い

手足口病は、その名の通り四肢および口腔内に水疱性の発疹を生じる疾患だ。主な症状は、口の中、手のひら、足底や足背(足の甲)などに2~3mmの水疱を伴う発疹が出ることだ。肘や膝、お尻にも発疹が出ることがある。

感染経路は主に3つある。咳やくしゃみなどのしぶきを介した飛沫感染、飛沫や便に含まれるウイルスが手指を介して口から侵入する接触感染、そして糞口感染(便と一緒に排泄されたウイルスが口に入って感染すること)だ。

長崎県の感染症情報センターによると、手足口病の病原体である『エンテロウイルス属』は数十種類の型があり、別の型に感染するとワンシーズンに何度も感染する可能性があるという。この点は特に注意が必要だ。

一度手足口病にかかったからといって安心はできない。「手足口病に一度かかるともうかからない」というのは大きな勘違いである。実際、異なる型のウイルスに感染することで、同じ夏の間に複数回発症するケースも報告されている。中には重症化しやすい病原体もあり、繰り返しの感染にも警戒が必要だ。

大人も油断禁物!知っておくべき注意点

手足口病は「子どもの病気」というイメージが強いが、実は大人も感染する可能性がある。大人の感染は主に子どもからのケースが多く、症状が子どもとは異なることがある点に注意が必要だ。

県内の医療機関によると、大人が感染した場合、子どもに比べて発疹が強く現れる傾向があるという。また、発疹の前に倦怠感や筋肉痛、悪寒などの症状、40℃ほどの高熱が出ることもあるが、大人の場合、発症のパターンが子どもとは異なることがあるため、発疹が出る前は風邪と勘違いするケースもあるという。

手足口病にかかった大人の手

特に夏休みやお盆は人々の移動が増える時期であり、今後さらに感染が広がる可能性も考えられる。

予防法としては、こまめな手洗い・消毒、食器やタオルの共用を避けること、排泄物を適切に処理することなどが挙げられる。特に、おむつ交換時には排泄物を適切に処理し、しっかりと手洗いをすることが重要だ。手足口病の原因菌であるエンテロウイルスにはアルコールは効果はないため、県は「手洗い、うがいを励行し、感染防止に努め体調管理に気をつけるように」と呼びかけている。

大人も子どもも、この夏は手足口病への警戒を怠らないようにしたい。さらに、一度かかったからといって安心せず、複数回の感染の可能性も念頭に置いて、継続的な予防対策を心がけることが重要だ。

(テレビ長崎)

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