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来月行われる自民党の総裁選挙をめぐり“ポスト岸田”候補に10人の名前が挙がるなか、先陣を切って立候補を表明したのは、小林鷹之前経済安全保障担当大臣(49)でした。派閥の解消後、初めてとなる今回の総裁選に、小林氏は「脱派閥選挙」を強くアピールしました。脱派閥の総裁選の動きは他の候補にもつながっていくのでしょうか。

■一番乗り 小林鷹之氏は“変化”強調

誰よりも早い出馬会見。強調したのは“生まれ変わり”でした。

小林鷹之衆院議員
「私、小林鷹之は来たる自民党総裁選挙に覚悟をもって出馬することをここに表明します。当選4回、40代。普通のサラリーマン家庭で育った私が派閥に関係なく、今この場にこうして立っている。その事実こそが、自民党が本気で変わろうとする象徴になる」

裏金事件では自民党員の信頼をも失いました。その回復は総裁選の戦い方にも絡んできます。掲げたのは「脱・派閥」です。

小林鷹之衆院議員
「若手からベテランまで、多くの信頼する同志とともに自民党は生まれ変われることを証明したい。だからこそ、私は脱・派閥選挙をこの総裁選で徹底します。旧派閥に対する支援は一切求めません」

小林議員は開成高校、東大法学部を卒業後、大蔵省に入省し、12年前、衆議院選挙で初当選して以来、ずっと二階派に所属してきました。岸田政権で経済安全保障担当大臣に抜てきされた時も…。

小林鷹之衆院議員(2021年10月)
「志帥会の先生方のご指導のおかげで、今、私はこの立場に、ここに立っている」

大臣経験1回での立候補。その小林議員がいち早く出馬会見を開いた理由は。

小林鷹之衆院議員
「私は今回、チャレンジャーの立場です。知名度もありません。一日でも長く、私自身の国に対するこの思い、ビジョン、あるいは政策、1人でも多くの党員や国民に知っていただきたい。そういう思いで、このタイミングとなりました」

総裁になって何をするのか。例えば“政治とカネ”。6月に成立した改正政治資金規正法では、使い道を公開する義務がない『政策活動費』について、領収書の10年後の公開方法や、支出が適正かチェックする第三者機関の設置など、検討課題がいくつも残っています。

小林鷹之衆院議員
「私が総裁になった暁には直ちに検討に着手し、可能な限り早期に結論を得ていく」

また、憲法については、緊急事態条項の創設と自衛隊の明記を喫緊の課題と位置付け、早期の改正発議に向けて最大限の熱量で取り組むとしました。

出馬会見の直後。報道ステーションの取材に小林議員が答えました。

小林鷹之衆院議員
「(Q.身ぶり手ぶりで伝える場面もあったが)練習というか、結構話す時に手が出ちゃうんです。(Q.“脱派閥”をアピールしていたが)今回の総裁選は、派閥の誰かが『右向け』と言って右を向くとか、そういう選挙にしたら、もう国民の信頼は得られない」

「脱・派閥選挙」応援する側は実際どうなんでしょうか。

安倍派 福田達夫元総務会長
「今回、小林を推そうじゃないかと言い始めた我々の仲間たちは、やはりまず旧派閥の領袖(りょうしゅう)に仁義は切っています。『今回、我々は派閥ではない。そういう理屈で総裁選を戦いたい』と仁義は切らせていただきました」

“派閥なき総裁選”を意識した発言は他の人からも出ています。

上川陽子外務大臣
「大変多くの方々から励ましの言葉をいただいており、手ごたえを感じている」

外遊に先立ち、改めて出馬への意気込みを見せた、上川外務大臣。出身の岸田派・宏池会からは、派閥のナンバー2を務めた、林官房長官も立候補の準備を進めています。

上川陽子外務大臣
「(Q.同じ宏池会(岸田派)から林官房長官が出ることについては)私は派閥という枠組みの中で考えていないということは明確に申し上げたい」

他にも、茂木幹事長と加藤元官房長官も、同じ茂木派同士で立候補を模索していて、派閥の枠にとらわれない総裁選は10人もの出馬が取り沙汰される乱立模様です。

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■自民党 再生の道筋は…

■自民党 再生の道筋は…

政治部の千々岩森生記者に聞きました。

(Q.小林氏がいの一番に立候補表明したことが意味するものはなんですか)

千々岩森生記者
「“派閥全盛時代”に、若手が先陣を切って出馬会見をすることはあり得なかった。旧来の権力構造が“とけ始めた”ことを象徴している。『世代交代』が1つのテーマとなり、党内のベテラン陣には焦りもにじむ」

(Q.これからの総裁選はどう展開するとみていますか)

千々岩森生記者
「現状では、旧来の自民党のイメージに染まらない人物が半歩リードしているのでは。今回の総裁選では派閥の数合わせではなく“国民と対話ができる”『この人なら自民党は本当に変わる』と信じられる候補が勝ち上がると思う」

千々岩森生記者
「今後の注目は世論調査。6週間にわたる論戦を通じて“誰が本当に世論に訴える力があるか”が見えてくる。そうした人物が出てこなければ、自民党はさらに追い込まれる」

大越健介キャスター
「小林氏も含め、立候補に意欲を示すかなりの議員が“脱・派閥”としています。ただ、意地悪なことを言うと、自民党はこれまで派閥の連合体できました。派閥は権力を分散させ、人材育成の役割も果たす存在でした。単に『派閥に頼らず戦います』というのはむしろ楽なのであって、派閥に代わる新しいガバナンスの在り方、党運営の仕方をしっかり示す。そして、どうやって清潔で政策本位の政党に生まれ変わらせるか。その具体的な道筋を示すことが、次の総裁に求められている大事な要件だと思います」

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