大阪市内のスーパーを取材したところ…コメの棚が空っぽでした。

関西テレビが公式LINEでアンケートを実施したところ、91.2%の人がコメの品薄を感じていると回答しました。

“令和のコメ騒動”ともいわれる事態は、一体いつまで続くのでしょうか?


■例年の2倍近い価格で販売もすぐ完売 民間の在庫は過去最低水準

20日、滋賀県高島市で出荷された近江米。極早生品種の「ハナエチゼン」900袋およそ27トンです。

猛暑の影響などで品質が心配されましたが、上質な米が育ったということです。

【農家 大森重俊さん】「消費者の皆さまにいち早く提供して、おいしいコメをみなさんにご賞味いただければ」

そんな新米の出荷に期待の声が高まるのにはある理由が。

大阪市内のスーパーを取材すると…。

【記者リポート】「こちらのスーパーでは品薄となり、商品は空の状態となっています」

コメ売り場の棚は空っぽに、ひと家族1袋までという制限も。

【買い物客】「コメ置いてあるところが一つもなくて、びっくりしました。(Q.家にはコメある?)「ないんですよ。どうしようかなって思って」

【買い物客】「これで4軒目。日本人は、コメですやん。パンではもたへん」

この日、入荷したのは10袋ほど。例年の2倍近い価格で店頭に並びましたが、およそ1時間半で完売しました。

【フレッシュマーケットアオイ 内田寿仁社長】「品薄感が出てきたのは、ことしの春。3月4月くらいから値段も高くなってきた。毎日、問屋にコメを発注するんですけど、いつ入ってくるか分からないのが実情で。私たちも訳が分からない、計画を立てられない状況が続いています」

こうしたコメ不足は全国各地で起きていて、農林水産省によると、ことし6月末時点で、民間の在庫は前年から21%減り、156万トンと過去最低水準となっています。

コメをめぐっては、およそ30年前に記録的な冷夏の影響で深刻なコメ不足となる“平成の米騒動”があり、アメリカ産のコメやタイ米が店頭に並びました。

再びやってきたコメ不足。

“令和のコメ騒動”ともいわれる事態に、家庭からは悲鳴の声があがっています。

■「あと10日でゼロ」 工夫するもコメがないのは困ると本音

大阪市内に住む伊藤さん一家。小学生の娘2人と幼稚園の息子がいます。

この日の夕食は、子どもたちがリクエストした“すき焼き”。

おコメがどんどん進みます。徐々に減っていくコメ…。

母・真衣さんは頭を悩ませていました。

【伊藤真衣さん】「いま夏休みで、普段だったら給食あるんですけど給食ないので、お弁当作ってると、この夏休みのコメの減り方すごくて。特に最近『もうない!』っていう感覚が大きかった」

お盆前に5キロ買いましたが、すでに半分がなくなっていて、あと10日ほどで底をつきそうだといいます。

子どもの栄養を考えると米はかかせず、こんな工夫も…。

【伊藤真衣さん】「雑穀はまだ売っているので、さっきのご飯も麦を足していたりして。ちょっとだけコメの量を減らしてみようともがいてます。パスタにする?とか、お好み焼きでもしようかってなるんですけど、子どもの栄養考えると、ご飯とおかず何品かって考えたいので、コメがないのは困りますね」

■コメ不足の原因は「作り手不足」「インバウンド需要の回復」

なぜここまで、深刻なコメ不足に陥っているのでしょうか。

【ガッツうまい米橋本 橋本孝則代表取締役】「コメ屋やって29年ぐらいになりますけど、初めてですね。こんなにコメがないないというのは初めて」

飲食店などにコメを卸すこちらの業者によると、新米が出回る前の今の時期は、例年だと、まだ在庫が残っているということですが、ことしは枯渇状態だといいます。

【ガッツうまい米橋本 橋本孝則代表取締役】「根本的な原因というのは、作り手不足による絶対数の減少というのが一番大きくて、あともう一つは、インバウンド需要の回復。海外のお客さんがだいぶ戻ってきたので、そこでの消費が増えたというのも一つある」

猛暑でコメの品質が低下し、流通量が減少したところへ、インバウンドの影響などで主食用のコメの需要が10年ぶりに前年を上回り、コメ不足となっているのです。


■外国人にも人気の“おにぎり店” 「ことしになってコメ不足が加速した」

大阪市北区にあるおにぎり店に行ってみると…、行列が。やはり外国人観光客に人気のようです。

おにぎりは、トッピングにもよりますが1つ350円から。多い日は、お客さんの3~4割が外国からの観光客だそうです。

(Q.何を注文しましたか?)
【カナダからの客】「さけ、すじこ、ネギトロ。日本の方が人気だけど、私の国でもコメは人気です」

【オーストラリアからの客】「SNSを見て良い口コミがたくさんあったから来ました」
【オーストラリアからの客】「We loveオニギリ!」「具がいっぱい!」

【おにぎりごりちゃん中崎町本店 谷川泉料理長】「コメの不足自体は、去年からいっていた、ことしになってより加速した。価格は上げてなくて、そのままの値段で」

■コメ不足解消は秋口か

コメ不足で、ことしは特に新米の出荷が待ち望まれますが…、販売店の橋本さんによるとコメ不足が解消するのは、9月から10月にかけてではないかということです。

【ガッツうまい米橋本 橋本孝則代表取締役】「新米出だしても、皆さんがワッと新米にワッと殺到するので、特に出始めの新米というのは、一瞬でなくなると思います。やっぱり秋口。一番新米が全国から集まる秋口になったら、多少今よりは改善されるかなと思います」

日本人の主食に迫る危機。“令和のコメ騒動”は収束するのでしょうか?

(関西テレビ「newsランナー」2024年8月20日放送)

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