山梨県が県内企業と開発を進めてきた郡内織物を使った夏服=甲府市丸の内1の県庁で2024年4月10日午後1時58分、野田樹撮影

 山梨県の伝統産業「郡内織物」をPRするため、県と県内企業が開発を進めていた「山梨の夏服」について、県は愛称を「かいくーる」と発表した。沖縄のかりゆしウエアのような夏の定番を目指し、綿素材の男性用シャツやコットンシルクの女性用シャツブラウスを6月から販売する。【野田樹】

 郡内織物は、富士山のふもとに広がる郡内地域で1000年以上前から生産されている伝統的な織物。従来は主に絹織物で、ネクタイやスーツの裏地に用いられているが、ビジネスカジュアルやリモートワークの普及で服装が多様化し、生産が低迷した。

 県は2022年度、富士吉田市や県絹人繊織物工業組合と協力し、リネン生地を使った「山梨の夏服」を試作。23年7月、県内で開催された全国知事会議で公式ウエアに採用したほか、県議会でも着用するなどPRを進めてきた。

 愛称は、シンボルマークと併せ1~2月に募集。計1000件以上の応募があり、甲府市の田辺新造さんの「かいくーる」が選ばれた。甲斐国の「かい」とクール(涼しい)を組み合わせたという。シンボルマークは富士山と織物をイメージした千葉県柏市の東洋平さんの作品に決まった。

 「かいくーる」は富士吉田、山梨、上野原の各市にある4事業者が、半袖シャツや、女性用のシャツブラウスなど14種類を製作。県内の宝飾加工の職人が研磨した水晶やオニキスのボタンをつけたシャツも販売される予定。販売店などは未定。

 県は愛称とシンボルマークを商標登録出願しており、ブランドタグやラベルに使用するという。担当者は「県民に親しんで着てもらえるアイテムにしていきたい」と語った。

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