公立中学校の部活動で平日に指導しているのは、約8割が教職員であることが23日、文部科学省が公表した部活動に関する調査結果(速報値)で明らかになった。文科省は少子化への対応や教員の負担軽減を目的として民間クラブなどを活用した地域移行や民間指導員との連携を促しているが、進んでいない現状が浮き彫りになった。受け皿不足などが背景にあるとみられる。
調査は2024年5~6月、全国の自治体を対象に実施。地域のクラブへの移行や部活動指導員の活用の動向、課題などを聞き取った。
それによると、平日は運動部の77%、文化部の84%を教職員が指導していた。休日は運動部63%、文化部72%だった。
26年度までに地域移行・連携が進む予定としたのは、運動部が休日で68%に上った一方、平日は39%。文化部では休日で61%、平日では46%。運動部、文化部とも年々対策が進む傾向はあるが、休日に比べて平日が課題となっている。
地域のクラブで活動する上での課題を尋ねる設問では、運動部・文化部ともに「指導者の量の確保」を挙げる回答が最も多く、「持続可能な収支構造の構築」「保護者・生徒の普及啓発・理解」が続いた。
地域のクラブを活用した場合の指導者の属性も調査しており、運動部・文化部ともに「教員の兼職・兼業」が最多だった。運動部では次いで「スポーツ少年団の指導者」「個別競技団体に所属する指導者」が多かった。
文化部の指導者は「退職教員」「アマチュア活動者」と続いた。地域のクラブに活動を移行しても、指導は実質的に教員が担っている現状が伺える。
文科省は、23~25年度を部活動の改革推進期間と位置づけ、自治体に対してスポーツ・文化団体などを巻き込んだ協議会を設け、地域移行の推進計画も策定するよう求めている。一方、調査では、協議会設置予定や推進計画策定予定がないと解答した自治体もそれぞれ約1割あった。
調査結果は、部活動のあり方を検討する文科省の有識者会議で示された。会議冒頭、盛山正仁文科相は「(部活動改革は)実施主体の体制整備や参加費用の負担のあり方など、さまざまな課題に直面していると認識している。改革推進期間以降もより一層取り組みを進めるため、実りある議論をお願いしたい」と述べた。【斎藤文太郎】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。