県内で最も多くの人が現在も避難生活を続けている戸沢村。住民のみなさんに話を聞くと、「先の見えない不安」を抱えながらこの1カ月を過ごしてきたという。

最上川がはん濫し、集落一帯が水に浸かった戸沢村蔵岡地区。
2階に迫る高さまで水が流れ込んでいる。大雨のあの日、庄司さんは自宅の2階に垂直避難して一夜を過ごした。

(庄司輝好さん)
「逃げられないし、あとは黙って見て、笑うしかない。怖さはなくなってしまう。狐につままれた感じ。誰も思っていないことが起きてしまった」

県内では、現在も183人が避難生活を余儀なくされている。

(リポート)
「戸沢村の戸沢学園では、現在も100人近くが避難所での生活を余儀なくされています。大雨から1カ月が経ち、避難所で生活をする人からは、『この先いつまでここで生活しなければいけないのか』、先が見えない不安の声が聞かれました」

(蔵岡地区の住民)
「これからの不安。どうするか、先行きが見えない。(Q.避難所での生活1カ月経つが)疲れた」

これからの時期、心配なのが災害関連死。避難している人の健康維持が大切だ。
戸沢村には連日、各地から保健師などが派遣され活動を続けている。
20日に始まった仮設住宅の建設も、健康維持には重要な役割を果たす。
9月の完成を目指し、作業は急ピッチで進み、きょう(26日)住宅の枠組みの設置が始まった。

蔵岡地区では、避難所ではなく自宅で生活を続けている人も多くいる。前田さんもその1人。

(前田正弘さん)
「正直言って、避難所暮らしは人に気を遣わないといけないし、蔵岡に残ることを決めたので、家の再建をしながら頑張りたい」

被災から1カ月、今、必要な支援は何か聞いてみると…。

(前田正弘さん)
「やっぱり資金がほしい。今も役場で見舞金の申請をしてきたが、何をするにしてもお金が必要」

先ほどの庄司さんは、自宅で風呂に入れるようにと、業者に灯油タンクの修理を依頼した。
ただし、室内など本格的な自宅の修復は全く手つかず。その理由の1つが「り災証明書がまだ発行されていない」ことだという。

(庄司輝好さん)
「何事にも『罹災証明が必要』と言われる。それも出ていないので手をつけられない。片付けるので精いっぱい。仮にみんなが集団移転するとなっても、『修繕費をかけた分、誰が持ってくれるのか』となるから、ある程度の道筋ができていれば、我々も直したりそのまま放棄とか、いろいろな形もあるけど、あとは行政の進め方次第」

復旧作業を進めていいのか、それともやめておくべきなのか、「どちらに進めばいいのか? 先が見えないことが何よりつらい」と住民が話していたことが、被災地の現状をあらわしていると強く感じた。

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