東京のランドマークであるレインボーブリッジと東京ゲートブリッジ。

普段、自転車では走ることができないこの名所が1日だけ開放され、“サイクリングロード”になるライドイベント「GRAND CYCLE TOKYO」。

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3年目の今年は12月1日(日)に開催。現在、参加者のエントリーが行われている。

その「GRAND CYCLE TOKYO」のアンバサダーを務める5名(稲村亜美、神田愛花、小島よしお、武井壮、団長安田 ※五十音順・敬称略)が、自転車でしか見えない景色に会いに行き、東京の魅力を再発見する。

今回の「とうきょう自転車さんぽ」はアスリート、そしてタレントの武井壮さん。自転車を乗せて“イエロー水上タクシー”に乗船し、芝浦から浅草にやって来た。

いつもとは違った目線の、少し優雅な「船旅さんぽ」は、貴重な体験になったようだ。

「いや〜水の上から見る東京、新鮮でしたね」

浅草に降り立ち、再び自転車を走らせる武井さん。日本屈指の観光地を、軽快に駆け抜けていく。葛飾区出身の彼にとって、浅草は馴染みの街。路地裏まで熟知しており、今もよく訪れるという。

「願い事をしにくる街ですね。毎年初詣は浅草寺だし、みんなが願い事を持ってやって来て、いろいろな願い事を浅草寺でして、美味しいもの食べて、縁起良くなって帰るみたいな。子どもの頃からとにかくお参りって言ったら浅草寺だから」

少年時代、学生時代、そしてタレントになってから。この街でしてきた願い事は、叶ったのだろうか?

「全部叶っていますよ」

さすがは“百獣の王”。努力を積み重ねて陸上・十種競技の日本チャンピオンとなり、芸能界でも成功を勝ち取った自信がのぞく。

続いて武井さんがハンドルを向けたのは、浅草の西に位置する上野。この街にも、深い思い入れがあるという。

「葛飾区に住んでいる人は、一番都会が上野なんですよ。京成線1本で行けて、特に40年前とかは上野にしかデパートなかったんで。だから上野に行く時はだいたい美味しいご飯食べられるか、お買い物に連れていってもらえるみたいな、ちょっとワクワクしながら行ける、一番の大都会みたいな感覚でしたね」

実は上野は、自転車との関わりも深い街。1898(明治31)年には、上野公園の不忍池周辺で日本人による大規模な自転車レースが開催された。世界屈指の伝統を誇る自転車レース「ツール・ド・フランス」が始まる前の時代に、約500人の選手と、2万人に及ぶ観客を集めたというのだから驚きだ。

また、1960(昭和35)年頃には、自転車・バイク関連の店舗が台東区全体で300以上あったという資料も残っている。

知る人ぞ知る「自転車の街・上野」。そこで武井さんが、ある店に立ち寄った。

「おっ!ここかな?かなりユニークな自転車屋があると聞いていたんで、これだな。」

『サイクルズ・ヨコオ』

一見、おしゃれなサイクルショップに見えるが、武井さんが「ユニーク」と表現したのには、ある理由があった。

武井:
こんにちは!お邪魔します、いいですか?

出迎えてくれたのは、店長の横尾亘さん。

亘:
どうぞ、どうぞ。

武井:
この辺りに、すごく歴史のある自転車屋さんがあるって噂を聞いているんですけど、もしかしてここだったりしますか?

亘:
…じゃないかなと思います。

武井:
この辺ではやっぱり、最も老舗の自転車屋さんなんですね。

亘:
99年、来年で100年。

武井:
100年記念なんですね、来年が。すごいですね。来年で100年ですって。

※写真8変更

そう、もうすぐ創業100年を迎える老舗中の老舗なのだ。

1925年に亘さんの祖父が開いた「サイクルズ・ヨコオ」。以来、場所を変えることなく、オリジナルブランド「HOLKS」やイタリアン名門ブランド「DE ROSA」などのロードバイクを取り扱ってきた。

自転車好きのオールドファンには「横尾双輪館」の名前で親しまれている。その歴史はもちろん、店を支える亘さんにも、武井さんは興味津々。

武井:
たぶん(亘さんと自分は)同世代ぐらいですよね?

亘:
僕、今年51(歳)。

武井:
同い年です!どうですか?半世紀、この自転車屋さんの変遷を見てきて。

亘:
ここ最近はね、やっぱり機材の進化が速くて、すごく進歩をしていますよね。なかなかついていくのも大変です。

武井:
コンポーネント(変速機やギア歯、ブレーキなどを合わせたパーツ)とか、電動になったりとか。

亘:
さすが、お詳しいですね。

同じ年に生まれ、同じ時代に作られた自転車に乗ってきた者同士、自然と会話が弾む。そんな中、武井さんが、壁にかかった古いロードバイクに目を留めた。

武井:
あれですね、ちょっとクラシックな。

亘:
実際に昔の選手が使っていた、レースで使っていた自転車なんですよ。

自転車のフレームには、その選手の名前が飾られていた。

武井:
エディ・メルクス。

亘:
もう昔はすごかった。無敵と言われて。

エディ・メルクスは、ベルギー出身の元プロロードレーサー。1960年代から70年代に活躍し、世界最高峰のレースで驚異的な戦歴を残したレジェンドで、その強さから「人喰い」の異名を持つ。

武井:
ツール(ド・フランス)とか?

亘:
ツールでも、ジロ・ディタリア(※イタリアで行われる世界3大レースの一つ)でも勝ちまくった(※ツール5勝、ジロ5勝、世界選手権ロード3勝)。

武井:
あのフレームでですか?

亘:
えぇ、あれで。昔はあれでみんなアルプスとか、ピレネーとかも上っていく。

武井:
へえ、あれスチールになるんですよね。

亘:
そうですね、あの頃はスチールしかなかったので。

現在、ロードバイクのフレームはカーボン製が主流となっているが、当時はまだスチール製。カーボンに比べるとだいぶ重いフレームでエディ ・メルクスは山道を力走し、世界を席巻していたのだ。

武井:
カッコイイですね、こう改めて昔のクラシックなスタイルの自転車を見ると。

レジェンドが乗った“お宝”に思いを馳せていると、2代目の店主・明さん(91)が顔を出してくれた。

若い頃はインターハイで入賞し、国体の東京代表にも選ばれるほどのロード選手だった明さん。傍らにいた妻・フサ子さん(87)に促され、さらなるお宝を見せてくれた。それは、一冊の本。

武井:
お父さんがこれ作ったの?(本に載っているの明さんの名前を見て)ホントだ!

1964(昭和39)年東京オリンピックの後に、明さんが仲間と制作したというオリジナル写真集。中身を見せてもらうと、当時のトップ選手の貴重なショットや自転車競技の迫力が、ありありと収められていた。

武井:
これはお宝ですね。

フサ子:
(エディ)メルクスも出ているでしょ?

明:
これがメルクスね。

武井:
今のポガチャル(※2024ツール・ド・フランス総合優勝)みたいなもんかな。タデイ・ポガチャルみたいなね。

明:
これはね、日本より向こう(海外)の方が評判良くってね。向こうの雑誌に紹介されたんですよ。で、メルクス(の直筆サイン)ね。

武井:
すごいわ。これはいい思い出ですね。

ただでさえ貴重な写真集に記されていた大スターのサインに、武井さんも感服。

さらに、80年代に店舗前で撮影されたというスナップショットを見せてもらうと、そこには、来日したメルクスと明さんが映し出されていた。

青春時代から今に至るまで、明さんは本場・ヨーロッパとの交流を続け、日本の自転車界の発展に貢献してきたのだ。

また、明さんは店を経営する傍ら、大会の競技委員も務めていた。

店の壁には、1964年東京オリンピックの競技委員に贈られた感謝状が飾られてある。裏方としても、自転車競技を支え続けたのだ。

素晴らしき自転車を、未来へ。その信念と情熱は今、亘さんへと受け継がれている。

武井:
来年で(創業)100年ということなんですけど、どうですか、ここから先の100年みたいなものは?

亘:
100年となるとね、なかなか想像もつかないですけど、でも自転車自体はね、すごくエコだし体にもいいし、すごくいい乗り物なので、自転車自体廃れることはないと思うので、時代時代で変わっていくとは思うんですけども、長く自転車に携わっていけたらいいなと思っています。

武井:
今ね、自転車競技も大盛り上がりですもんね。スターもいっぱい生まれてね。

亘:
そうですね。

武井:
この文化が消えないという。

亘:
と、思っています。

武井:
じゃあ、もう100年もしかしたら、続くかもしれないですね。5代目ぐらいまで行ってくれるかもしれないですね。

亘:
頑張りたいですね。

自転車への愛に溢れるサイクルズ・ヨコオ。その2階は、なんとカフェバーになっていた。

落ち着いた雰囲気のフロアに自転車や関連グッズが置かれ、自転車好きなら何時間でも過ごせそうなスペースとなっている。

このカフェバー「ヨコオカフェ」を切り盛りする亘さんの妻・未来さん(51)が案内してくれた。

武井:
どうしてこのカフェを併設されようと思ったんですか?

未来:
実は2年前まで、こちらはヘルメットとかウェアとか、そういったブティックを40年(経営していた)。

武井:
ショップだったんですね?

未来:
そうなんです。(ショップを経営)させていただいていたんですけども、最近ネットとかで皆さんお客様が買われるようになられて、ちょっと売り上げも減ってきたなというところで、「何か新しいことを」というところで、主人と相談いたしまして。ウェアももちろん今も扱っているんですけども、そちらを1階に集約して、この空いているスペースを何かにできないかと思いまして。

武井:
なるほど。

未来:
自転車の好きな方が集っていただくのはもちろんなんですけど、ご近所の方とかにもフラッと入っていただけるような、憩いの場になればなということで。ここでお知り合いになられて、一緒に走られる方とかもいらっしゃいます。

武井:
そうなんですね。

このカフェバーはサイクリングクラブも主催しており、ライドイベントなどを通じて、自転車好きの輪を広げているのだという。

勝鬨橋から始まった武井さんの自転車さんぽ。今回は、サイクルズ・ヨコオが終着地点となった。

「来年で創業100年になるという自転車屋さんで、お爺ちゃんお婆ちゃんたちが僕にいろいろ写真集見せてくれたり、自転車の歴史を嬉しそうに語ってくれるのが、非常に自転車愛に溢れていて」

「僕ら日常にね、普通に移動手段として乗っている自転車ですけど、あんな風に自分の持っている自転車に愛情を持って、組み立てたり調整したりとかしてくれる人がいるのも、自転車に関わる魅力だと思うので、あのようなショップにもちょくちょく顔を出して、また自転車の情報をもらったり、楽しい自転車の仲間を作ったりとか、そんな風にして世界を広げていきたいなと、そういう風に思いました」

自転車でしか見えない景色と、自転車でしか得られない体験に会いにいく。

それがとうきょう自転車さんぽ。

「とうきょう自転車さんぽ」
フジテレビ(関東ローカル)
毎週火曜22時48分~

GRAND CYCLE TOKYO
レインボーライド・マルチスポーツ

12月1日(日)開催
9月16日(月・祝)までエントリー受付中
https://grand-cycle-tokyo.jp/

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