文部科学省は29日、2025年度予算の概算要求を発表した。一般会計は総額で24年度比6146億円増の5兆9530億円。焦点となっていた公立学校の教員不足の解消に向けた給与や手当の増額分は、年換算で1270億円となる。残業代の代わりに基本給の4%が一律支払われる「教職調整額」の支給割合を13%に引き上げるほか、負担が大きいとされる学級担任や管理職の手当の増額を見込んだ。
残業代を支払わない根拠となっている教員給与特別措置法(給特法)は、長時間労働を助長しているとして一部で「定額働かせ放題」などと批判されている。文科省は給特法の枠組みは維持しつつ、処遇改善や働き方改革、学校現場の人員増加を一体的に進めることで教職のブラックなイメージを払拭(ふっしょく)できると判断した。
教職調整額は給特法で支給割合を規定され、3分の1を国、残る3分の2を自治体が負担する仕組み。概算要求では法令改正などで適用が可能になる26年1~3月分として国が負担する増額分190億円を計上した。期末手当(ボーナス)などの増額分を含めれば、教職調整額の増額分は年換算で1080億円となる。
政府は給特法の改正案を25年の通常国会に提出する。適用されると、月額給料30万円の教員は教職調整額が1万2000円から3万9000円に増える計算になる。
このほか学級担任の手当を月額3000円加算。管理職の基本給を引き上げた上で、手当も月額5000~1万円増額する。年換算の増額分は190億円となる見通しだ。
教員給与の国庫負担金としては1兆5807億円を計上。教科担任制の拡充や生徒指導担当教員の配置増などで約7700人を増員する一方で、少子化に伴う教員定数の自然減などが約8700人に上ると見込み、24年度予算と比べると180億円増にとどまった。
給与以外では、管理職の学校マネジメントを専門的に支援する人材を24年度の1000人から3倍に増やすための費用として16億円を算出。保護者や地域からの過剰な苦情や不当な要求に対応する仕組みの構築に2億円を盛り込んだ。
一方、国立大学の運営費交付金は24年度比361億円増の1兆1145億円を計上した。【斎藤文太郎】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。