アカウミガメの保護とロボットの活用について説明する「九十九里浜の自然を守る会」の猿田勇会長(左)=白子町で2024年8月28日午前10時24分、高橋秀郎撮影

 白子海岸(千葉県白子町)で市民団体が実施しているアカウミガメの保護活動を、ロボットを活用して後押しする実証実験が28日、公開された。会員の高齢化を背景に、ロボット搭載のカメラを用いてカメの上陸を確認するパトロールなどに役立てる。早ければ、来年の実用化を目指す。

 実験には「九十九里浜の自然を守る会」(猿田勇会長、会員54人)と、同会事務局を務める同町、コンサルティング会社「Suzak」(東京都新宿区、田口直樹社長)、ロボットを提供した「REACT」(宇都宮市、中村克社長)が参加。ロボットは、自走式の無人搬送車を使った。

 守る会は1999年に設立。カメの上陸や産卵、ふ化の観察などの活動をしてきた。産卵時期の5~8月、担当者が毎日午前5時から3時間程度で約6キロを歩いて調査。足跡を見つけると、ピンポン球大の卵の有無を確認し、看板や柵を設けて保護を呼びかける。

 今年は2カ所で計約300個の産卵があり、9月10日以降にふ化の見通し。しかし、活動を続けるには要員の確保が難しく、体力的な負担も大きい。猿田会長が71歳となり、継続する方法についてS社に相談したという。

 この日は、砂浜にコースを設定してロボットの自動走行を試行。カメが上陸後の足跡を想定し、カメラで捉えて映像を送信。人間の操作によって走行を止め、駆けつける――という流れを検証した。

 今後は、AI(人工知能)が足跡を確認して送信する技術や、資金集めなどプロジェクトの仕組み作りに力を入れるという。

 猿田会長は「ロボットの活用を実用化し、ウミガメの保護活動を後世につなぎたい」と話した。【高橋秀郎】

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