今後の大学教育などを考える文科省の会合で慶應義塾長の提案が議論を呼んでいます。それは「大学間の公平な競争環境」のため、国立大学の学費を100万円程度値上げすること。長野県内の大学生や保護者に話を聞きました。
■国立大学の学生「安いから選んだ」
信大生:
「正直、安いから選んだところもあるから」
「あまりお金がなかったのでそういう面で国立しか選べなかった。高くなると大学すら行けない人が増えそうで、それは困るなと思う」
県内からも疑問の声が上がっています。
■国立大学「学費を年間100万円値上げ」提言
3月27日、文科省で開かれた「高等教育の在り方に関する特別部会」。今後の大学教育について話し合われたこの回で、委員の一人として出席した慶応義塾の伊藤公平塾長が人口減少などを念頭に学費について次のように提言しました。
伊藤公平氏の提出資料(文科省HPより):
「国公私立大学の設置形態に関わらず、大学教育の質を上げていくためには公平な競争環境を整えていくことが必要である」「国立・公立大学の家計負担(学納金)は150万円/年程度に上げる」
現在、国立大学の年間の学費の標準額は53万5800円。
提言では100万円ほど値上げになります。
■慶応大学の学費の平均値は約140万円
一方、慶応大学の現在の学費の平均値は約140万円です。
伊藤塾長は「国立大学の収入が増え、私立大も経営努力で国立より安い学費で公平な競争に参加できる」としています。
■国立大学の学生「学習の機会奪われる」
信州大学も学費は標準額通りの53万5800円です。
学生からはー。
信大生:
「優秀で勉強がしたいんだけど、お金がなくて大学に行けない人もいる中で、さらに学費を上げてしまったら学習の機会が奪われる」
「(国立大に)逆に来る人が減ってしまうのでは。私立ばっかり行ったり、地方の大学のニーズが減ってしまうのでは」
「東京に憧れがありながらも、学費の面で抑えられるということで、ここにしたので」
■保護者や高校生からも疑問の声
保護者や高校生からも疑問の声が上がっています。
40代:
「(学費の低い)国立大だったらと思っている方が入るのが難しくなるのでは」
高2:
「高くなるのはもちろん困るし、親に申し訳ない気持ちもあるので」
■慶応義塾長・伊藤氏「学費を払える方には負担をお願いするシステムを提案」
FNNの取材に対し慶応大学の伊藤塾長はー。
伊藤公平 慶応義塾長:
「基本的に奨学金を充実させて広く必要な方に届けることを前提にする一方で学費を払える方には負担をお願いするシステムを提案したものです」
なお、文科省の担当者も「あくまで提案が議論に上がった段階で決定事項ではない」「この内容が独り歩きするのはわれわれも本意ではない」としています。
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