営巣するコアジサシの親子。左端のひな鳥は、先に餌をもらったひな鳥と親鳥をうらやましそうに見上げている=奈良市三条大路4で撮影、岡口晃子さん提供

 平城宮跡と隣接する積水化学工業奈良事業所跡地(奈良市三条大路4)で、環境省のレッドリストで絶滅危惧2類に指定されている渡り鳥・コアジサシの営巣を奈良教育大自然環境教育センターの岡口晃子・研究部員が確認した。この場所での営巣は5年連続で、つがい2組が22日までにひな鳥とともに無事旅立ったという。

 コアジサシは4月ごろに東南アジアなどから飛来するカモメ科の渡り鳥で、河川敷や砂浜などの見通しのいい平地を掘ってひな鳥を育てる習性がある。その後は海辺に集まり、10月ごろ越冬のため再び南に渡るという。

 今年は5月初旬段階で最大6組の営巣が確認されたが、直後にハヤブサに捕食されたことからいったん巣がゼロになったという。だが6月に再び2組が営巣。8月7日と22日にそれぞれ旅立った。岡口さんは「コアジサシは本来海沿いでひなを育てる鳥だが、ため池が多く餌の魚に困らないことから奈良まで飛んできているのでは。荒れ地と思われがちな砂と石が入り交じった場所にも大きな意義があると知ってほしい」と話している。【稲生陽】

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