SNSを悪用した投資詐欺・ロマンス詐欺の被害が全国的に急増している。「投資でもうけませんか」「愛してる、早く会いたい。会いに行くから旅費を送って」「ふたりの将来のために投資をしましょう」など、恋愛感情や親近感を抱かせ高額な金銭をだまし取る。2024年1月から6月までの被害総額は、全国で660億円にものぼる。なぜ、これほど多くの人々が投資詐欺・ロマンス詐欺の被害に遭ってしまうのか? 詐欺から身を守るための対策とは。

進化するSNS型詐欺の巧妙な手口

スマートフォンの普及とSNSの発達により、見知らぬ人との出会いが容易になった現代。しかし、その便利さの陰に潜む新たな脅威が、投資詐欺・ロマンス詐欺である。

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その手口は非常に巧妙で、犯人はSNSやマッチングアプリで被害者と接触し、恋愛感情を抱かせるようなメッセージを送る。その後、投資話や金銭の要求を持ちかけ、被害者から高額な金銭をだまし取る。特に、仮想通貨や投資サイトを利用した手口が増えており、被害者は実際に少額の利益を得ることで信頼してしまうことが多いようだ。被害者の年齢層は幅広く、20代から60代までの男女が被害に遭っていて、特に40代から60代の中高年層が多く、恋愛感情や親近感を利用されるケースが目立つ。

「かずみ」の投資話に1300万の被害

2024年、長崎県内に住む50代の男性が、マッチングアプリで知り合った「かずみ」と名乗る人物に総額1300万円をだまし取られた。

男性は「かずみ」から仮想通貨の投資話を持ち掛けられ、「メタマスク」というアプリをダウンロード。その後、インフォメーションセンターから「口座に現金を振り込めば利益が出る」とウソを言われ、4回にわたり280万円を入金。実際に少額の利益を得たことで信頼してしまい、さらに1020万円相当の暗号資産を送金してしまったという事案が発生している。

長崎県警によると、県内では2024年1月から6月までにSNSをきっかけにした投資詐欺などは55件確認され、被害額は5億円を超えた。うち36件はロマンス詐欺だった。

被害者はロマンス詐欺がマッチングアプリで、投資詐欺はインスタグラムで犯人から接触を受けたあと、ほとんどがLINEで連絡を取って金銭をだまし取られている。

警察庁のデータによると、2023年にはSNS型投資詐欺が2271件、ロマンス詐欺が1575件確認された。1件当たりの平均被害額は非常に高額で、特にロマンス詐欺では1件当たりの被害額が1000万円を超えるケースも多く見られる。

被害者の心理を巧みに操る

被害者の多くは、「寂しさ」や「将来への不安」を抱えている場合が多い。詐欺グループはそうした心理を巧みに利用し、徐々に信頼関係を築いていく。相手の写真を送ってもらったり、ビデオ通話をしたりすることで、本物だと思い込んでしまうケースもあるという。国民生活センターによると、出会い系サイトやマッチングアプリ等で出会った外国人を名乗る人物等から投資サイトを紹介され、投資したが、出金できないといった相談が増加しているという。

投資等のサイトを運営する事業者の実態がつかめない場合、被害回復は困難なため、少しでも不審に思ったり、手口にピンときたら、それ以上支払わないようにすることが大切だ。

投資に「絶対」や「確実」はない

インターネット上に著名人の名前・写真を悪用した嘘の投資広告を出したり、「必ずもうかる投資方法を教えます」などとメッセージを送るなどして、SNSに誘導し、投資に関するメッセージのやりとりを重ねて被害者を信用させ、最終的に「投資金」や「手数料」などという名目で、ネットバンキングなどの手段により金銭等を振り込ませる詐欺も横行している。
一度だまされると、詐欺と気付くまで、お金を何度も振り込んでしまい、1000万円以上の高額被害になってしまうことも。「おかしい」と感じたら、すぐに相談をしてほしい。

では、ロマンス詐欺の被害に遭わないためには、どうすればよいのか。警察庁などでは次のようなことに注意するように呼びかけている。

  • 「必ずもうかる」「あなただけ」といった文言に注意
  • 実際に会ったことがない人からお金の話をされたら疑う
  • 「投資」に誘導されたら要注意
  • SNSでの知り合いに個人情報を安易に教えない
  • 投資先が実在しているか・国の登録業者かどうか
  • 相手の本人確認を徹底する(ビデオ通話だけでなく、公的機関での対面確認を求める)
  • 家族や友人など、信頼できる人に相談する

「愛情」や「夢」「儲(もう)け」という甘い言葉の裏に潜む危険。それに気づくためには、常に冷静な判断力を持ち、周囲の人々とのコミュニケーションを大切にすることが重要だ。

~被害に遭ったら早めの相談を~  

警察相談専用窓口 #9110                             金融庁金融サービス利用者相談室「詐欺的な投資に関する相談ダイヤル」電話(ナビダイヤル):0570-050588 受付時間:平日10時00分~17時00分(電話受付)※ウェブサイトでは、24時間受付。                               *消費者ホットライン「188(いやや!)」番                    *国民生活センター ※相談はウェブフォームで受け付け

(テレビ長崎)

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