8月、約740万人が暮らす香港でアジア最大級の食品の見本市が開かれ、一角に長崎の魚介類が並んだ。長崎の魚を試食したバイヤーからは「おいしい」と絶賛する声も。長崎からグルメの街・香港で「食の新たな風」となる可能性を探った。
刺身に干物 長崎の魚介の魅力
8月15日から5日間開かれた香港フードエキスポ。香港貿易発展局が開くアジア最大級の食品の見本市だ。
この記事の画像(9枚)33回目となる2024年は20を超える国と地域が参加した。一般消費者向けの体験ゾーンとは別に、商談ゾーンも設けられた。
その一角で長崎の魚の魅力を発信したのは、長崎県内の10の事業者だ。
刺身や干物、カルパッチョ、お茶漬けなど、それぞれの自慢の商品をPRした。
試食したバイヤーからは「とてもやわらかくておいしい」。海外で展示会を企画する人も「試食してみると変なくさみもなくて、とてもいいですよ」と絶賛の声が聞かれた。
ブリで作ったまんじゅうを試食すると「すごくおいしいです」と好感触。食材の輸入が盛んなグルメの街、香港でも「長崎の魚」への反応は上々だ。
赤潮と戦う漁業関係者
海外進出はハードルが高いと感じる事業所も多いが、現地のコンサルタントによると「決して大きな会社じゃなくても、語学も流暢でなくてもできる」という。
ただ、魚の価格の低迷や生産コストの上昇など、国内の漁業を取り巻く環境は厳しさを増している。
ここ数年漁業者を追い込んでいるのが“赤潮”だ。
漁業関係者によると、2023年と同じ時期に赤潮が出て、さらに、8月14日朝に漁場に出たら赤潮で、「またか」という状況だったという。「2年連続はさすがに厳しい」と話すが、「ただ販路拡大のために香港に来て、可能性がかなりあるなと思っているので、めげずに頑張りたいなと思う」と前を向く。
「一度食べたらやめられない」長崎の魚
ほとんどの事業者が海外での商談は初めてで、言語や求める味つけの違いなど課題に直面しながらも、手ごたえをつかんだ。
「出展仲間」がタッグを組んだブリの解体ショーは、バイヤーだけでなく、ほかのブースの出展者も見学に訪れ、熱い視線を集めた。
香港のバイヤーは「ここまで脂がのっているブリはなかなかない。うちもブリを育てているが、ここまでにならない」「これは何ブリなのか?」などと長崎のブリに興味津々だった。
長崎県上海事務所・尾上貴将副所長は「長崎の鮮魚、魚はおいしい。一度食べたらやめられないと。中国国内では長崎鮮魚というブランドがしっかりと確立しているの。今は止まっているが、戻ってくれば比較的中国人の口には受け入れてもらえると思う」と話す。
展示会に続き開かれた商談会には約50社が詰めかけた。長崎県内の事業者は販路拡大に向けた一歩を踏み出していた。
(テレビ長崎)
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