小泉進次郎氏が6日、自民党の総裁選挙に正式に名乗りを上げました。何度も繰り返したのが、父親譲りの「改革」の2文字。そして、できるだけ早期に衆議院を解散し、国民の信を問いたいと踏み込みました。まずは刷新感を前面に打ち出した立候補会見となりました。
■衆議院“早期解散”を宣言
自民党 小泉進次郎元環境大臣
「私はこの度の自民党総裁選に立候補いたします。今回の総裁選は自民党が本当に変わるか。変えられるのは誰かが問われる選挙です。誰がやっても変わらない、政治に期待しない声が多いなか、自民党が真に変わるには改革を唱えるリーダーではなく、改革を圧倒的に加速できるリーダーを選ぶことです。今、政治を変えなかったら、子どもたちの時代に間に合わない。政治の決定のあり方、政策の強度・速度を圧倒的に上げなければ間に合わない。そんな危機感が募り、今私はここに立っています」
具体的な政策よりも先に切り出したのは…。
自民党 小泉進次郎元環境大臣
「私が総理総裁になったら、できるだけ早期に衆議院を解散し、中長期の私の改革プランについて国民の皆さんの信を問うことにしたい」
“選挙の顔”としての自信を覗かせました。
自民党 小泉進次郎元環境大臣
「今回の政治資金問題こそ、古い自民党の象徴です。この古い自民党を終わらせるために、私が総理になって最初に着手するのは、皆さんからの共感を取り戻すための政治改革です。政策活動費は廃止します。同じく使途が公開されていない旧文通費についても、使途の開示と残金の返納を義務付けます」
国会議員に毎月100万円支給されている旧文通費の使い道を公開するとしています。“裏金議員”については公認するかどうか「厳正に判断」し、選挙で信を得るまでは「要職に起用しない」方針を示しました。
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■純一郎氏譲り「聖域なき改革」■純一郎氏譲り「聖域なき改革」
自民党 小泉進次郎元環境大臣
「私が総裁になれば、古い自民党と決別する覚悟です」
身振り手振りを交えながら、短いフレーズを重ねて変革を訴える。重なるのは父親・純一郎氏の姿です。
小泉純一郎総理大臣(当時)
「私の方から自民党をぶち壊しますから」
会見では、純一郎氏の代名詞とも言えるあの言葉も…。
小泉純一郎総理大臣(当時)
「補助金・交付税・税源移譲、三位一体です」
自民党 小泉進次郎元環境大臣
「政治資金の透明化・自民党改革・国会改革、三位一体で進めます」
小泉純一郎総理大臣(当時)
「聖域なき構造改革に取り組みます」
自民党 小泉進次郎元環境大臣
「聖域なき規制改革を断行します」
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■夫婦別姓・憲法改正「決着つける」■夫婦別姓・憲法改正「決着つける」
規制改革として、労働者の解雇に関する制限を見直すことや、ライドシェアを全面解禁することを掲げました。他にも…。
自民党 小泉進次郎元環境大臣
「もう議論ではなく決着をつけるときではないでしょうか。選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的な議論を進めます」
自民党内に反対の声が根強い“選択的夫婦別姓”を認める法案を国会に提出するとしました。
自民党 小泉進次郎元環境大臣
「(Q.党内では慎重派の声が根強く、支持する右派団体の反対もあるが、総裁として決着をつけることはできるのか?)決着をつけなければ、決着と掲げる言葉が名ばかりになる。決着をつけにいきたいと思っています」
「決着」という言葉を繰り返しました。国民の支持をテコにして、党内の抵抗を押し切ろうとする姿もまた純一郎氏に重なります。
憲法改正については、戦後初めての国民投票を目指すと訴えました。
自民党 小泉進次郎元環境大臣
「国民の皆さんに問いたい。全国で災害が発生し、現場に真っ先に向かう自衛隊・自衛官が国の憲法に書いてすらいない。おかしいと思いませんか」
会見では“世襲”であることへの批判についても問われました。
自民党 小泉進次郎元環境大臣
「(Q.ふさわしくないんじゃないか。そういう批判にどう答えますか?)私が15年前、初めて選挙に向き合う時から言われ続けていた指摘。皆さんに『あいつは世襲だよな』そう思われたとしても、それを上回るに値するような政治家として認めていただけるように最大限の努力をしたいと思います」
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■“選挙の顔”問われる実行力■“選挙の顔”問われる実行力
小泉氏の戦略について、陣営の取材を続けてきた記者は…。
政治部与党担当 森洋介記者
「小泉さんが見据えているのは衆議院の総選挙。例えば自民党の保守票を固めるなら、選択的夫婦別姓などは踏み込む必要はない。あえてそこに踏み込んだということは、党内ではなく世論。衆院選での勝利を意識したということ。早期解散をすることによって、党内からの『選挙の顔』としての期待を実現させてみせ、そこで得た議席数は政権基盤となり、確かなものにできるという狙いもある」
小泉氏の会見を受けて、他の候補の戦い方にも変化があります。
政治部与党担当 森洋介記者
「自民党の原則論ではなく、世論に寄り添った形で議論のハードルを上げられたことで、それを争点にして付き合わざるを得ない面も出ている。『改革はそんなに簡単にできない』と冷ややかな声もある。これまで大きな改革を自ら主導した実績があるわけでもなく、今後、論戦になった時に跳ね返ってくるという見方もある」
最大のライバル候補は…。
自民党 石破茂元幹事長
「(Q.『改革を唱えるリーダーよりも改革を加速するリーダー』について)唱えるだけの人っていないんじゃないですか。別に小泉さんが加速するのであり、他の人は唱えるだけってことにはならない。一つ一つの深掘りの部分は足りないところもあったかもしれない」
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■政治資金・夫婦別姓“改革”前面に■政治資金・夫婦別姓“改革”前面に
小泉氏は総理総裁になって何を目指すのか。会見で配布された政策資料から読み解きます。
資料のタイトルは「決着 新時代の扉をあける」。最初のページは、全体をまとめた“見出し”のようなものになっていますが、注目したのは2ページ目です。
この2ページ目で「政治改革」「規制改革」など“改革”をうたい、資料でも大きな面積を割いています。
「経済」「外交」政策は最後に書かれていて、全体的に見ても、小泉氏がいかに“改革”を打ち出したいかが見て取れます。
その小泉氏が打ち出した“改革”を具体的に見ていきます。
総理就任後1年以内に実現すると掲げた主なものとして、政治資金問題こそ古い自民党の象徴として「政策活動費の廃止」など。そして、既得権益の打破。その象徴として「ライドシェアを全面解禁」する。新しい分野に人材を流れていく仕組みをつくるとして「解雇規制の見直し」。「選択的夫婦別姓」については、法案を国会に提出すると明言しました。
一方で、小泉氏は会見で「私が総理総裁になったらできるだけ早期に衆議院を解散」と明言しました。この発言について、テレビ朝日政治部の千々岩森生記者に聞きました。
千々岩森生記者
「10月前半にも解散するとみている。国会論戦などを通じて、6日の会見をより具体化した中長期ビジョンを打ち出す。批判や反発も含めて国民に信を問うのでは」
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