特集は生まれ変わった菓子メーカーの挑戦です。9月3日は「グミの日」。近年、若い世代を中心にグミの消費が拡大しています。グミ人気を受けて、2023年、大手商社の子会社になった長野県須坂市の菓子メーカーが、長く愛されてきたラムネ菓子をグミにした新商品を9月3日から売り出しました。
■「ヨーグレットグミ」新発売
大量に出来上がったクリーム色の粒。
実は、中高年世代にもおなじみとなっているあのラムネ菓子の「グミ」です。
それは「ヨーグレット」。
タブレットタイプの「元祖」は1979年発売のロングセラーです。
製造しているのは須坂市の「アトリオン製菓」。9月3日・「グミの日」に合わせて新たな「ヨーグレットグミ」3商品を投入しました。
アトリオン製菓・山下奉丈社長:
「独自性の高いものをどんどん作って世に出していこうと。いろいろな形が作れること、味が作れること、食感が作れること。グミは可変性に魅力がある」
会社は、長く大手菓子メーカーの傘下にありましたが、2023年、大手商社の子会社となって再出発。グミ商品の充実は10年先、20年先を見越した挑戦です。
■1945年に創業
終戦の年・1945年に創業した「新興産業」。
会社の歴史はここから始まります。
8年後、大手メーカーの「明治」の傘下に入り「明治産業」に改称。
長くキャラメルやスナック菓子などを製造してきましたが、グループの再編に伴い商社の丸紅に株式が譲渡され「アトリオン製菓」となりました。
会社は生まれ変わりましたが、商標権も移され「看板商品」を引き続き製造しています。
■長く支持される「看板商品」
アトリオン製菓 製造部・荻野瑛乃さん:
「こちらの工程ではヨーグレットのもととなる顆粒を作っています」
砂糖やゼラチン、濃縮ヨーグルトを混ぜ合わせその後、乾燥させます。
アトリオン製菓 製造部・荻野瑛乃さん:
「(先ほどの顆粒を)上から押し固めてヨーグレットの形にしていく機械です」
1分間にできるタブレットは約2500粒。
その後、シート包装して箱に入れたら完成です。
アトリオン製菓 製造部・荻野瑛乃さん:
「5万箱が1日で作られています。それが全国に届けられます」
カルシウムが取れるヨーグレットは45年、ビタミンCが豊富なハイレモンは44年もの間、支持されてきました。
ハイレモンは先日、人気バラエティ番組で疲労回復に良いと専門家に紹介され、話題にもなりました。
■目を付けたのは拡大中のグミ市場
長く愛されてきたブランドをどう守り、発展させていくかー。
会社は次の一手を考えてきました。
アトリオン製菓・山下奉丈社長:
「何か新しい形にして、改めて皆さんに愛してもらえるとすれば、グミにするというのはひとつすごく良い手段なんじゃないかと」
目を付けたのは拡大中のグミ市場。調査会社によるとグミの市場規模は、2017年の555億円から2023年には972億円に拡大。5年ほどの間にチューインガム市場を逆転したということです。
菓子の卸・販売を行う長野市の業者もー。
台東食品 アークス本店・掛川健彦店長:
「ここ数年でかなり伸びていて、1.5倍から2倍くらいグミ全体が売り上げが伸びている」
コロナ禍、マスクをしてかみづらくなったガムに対し、グミは口から出して捨てる煩わしさがなく、味、色、食感の豊富さから2000年代に入ってから若い世代を中心に支持されているといいます。
地域のイベント用に大量にグミを購入したこちらの男性はー。
グミを購入した客:
「グミはどうしても外せないものだなと思ったので買った。食感、食べやすいというのがあり、(子どもたちが好きな)理由かな」
■グミの製造を取材
ヨーグレットとハイレモンのグミ、実は明治産業時代の2年ほど前に商品化されていました。
アトリオン製菓の経営陣はそれを引き継ぎ、改良・充実させることにしたのです。
「こちらがグミの機械になります」
今回、特別に新作グミの製造の様子を取材させてもらいました。
材料は水あめ、砂糖、ゼラチンなど。これらを混ぜ合わせ型に流し込んでいきます。
アトリオン製菓 製造部・荻野瑛乃さん:
「こちらのラインでは70℃ほどのグミの液が型に入り、乾燥に向かう工程です」
1日ほどかけて乾燥させて成型すればグミの完成です。
新たな方針を支えるのは確かな技術。明治産業時代もグミの製造を請け負っており、ベテラン従業員にはノウハウが蓄積されています。
アトリオン製菓 製造部・荻野瑛乃さん:
「会社は変わりましたが、グミの製造の技術はベテランがいるので滞りなく進んでいます」
■ハイレモンのグミも改良する方針
こうして、出来上がったリニューアル第1弾の「ヨーグレットグミ」はー。
アトリオン製菓・山下奉丈社長:
「口いっぱいに広がるヨーグレットの風味がさらに広がるように食感であり、味の出方に改良を加えています」
特別に記者が試食―。
(記者リポート)
「口の中にあのヨーグレットの味がいっぱいに広がって、もちっとした食感がとてもおいしいです」
改良したプレーン味と新商品のイチゴ味と洋梨味の2種類は「グミの日」の9月3日発売。
今後はハイレモンのグミも改良する方針です。
■次の10年、20年を見越して
再出発して1年余り。丸紅出身の山下社長は長く親しまれてきた味を守りながら新たな挑戦も続けたいと話しています。
アトリオン製菓・山下奉丈社長:
「これまで積み上げてきたものがあってこそのアトリオン製菓ですので、その歴史を大事にしながらその次の10年、20年取り組んでいきたい。アトリオン製菓だからできるもの、独自性の高いものをどんどん作って世に出していこうというところは、みんな気合を入れて活動している状況」
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