Q 新鮮な枝豆はおいしいと聞きますが、選び方や秋以降も楽しめる食べ方を知りたいです。 A 緑鮮やかで さやの膨らみ9~10ミリ

斉藤農園の畑(後方)で収穫されたばかりの枝豆。手前は「枝豆のすだち山椒だし浸し」=東京都練馬区の同農園で

 ビールのお供、枝豆(青豆)はもともと大豆を未成熟のうちに収穫したものですが、現在流通しているのは、枝豆専用の品種がほとんど。収量重視の大豆と違い、枝豆は味の良いものが好まれるため、各地で品種改良が進みました。大豆は穀物、枝豆は野菜に分類されます。旬は7~8月ですが、ハウスで栽培されたものや品種によっては4~11月ごろに楽しめます。  茶豆や黒豆を含めた国内生産量は年7万トン前後で、自給率は5割弱です。主な産地は北海道、東北、首都圏。東京都でも例年約1100~1200トンを収穫します(全国15位以内)=地図。JAの直売所や農家の庭先販売などで、根と葉のついたものを買うこともできます。  枝豆の背丈は通常約50~80センチですが、都内の斉藤農園では40センチほどに抑えて育てます。「収量は減るが、味や色が良くなる」と園主の齋藤政幸さん。「買ったその日に食べてほしい。枝から外して4分ゆで、湯切りしたら塩を振れば余熱で火が通る」と話します。ゆで時間が短い分、うまみや栄養価も多く保たれます。農園とれたてのものと、収穫から1日置いてゆでたものを記者が食べ比べると、前者の方が緑色も鮮やかで、甘みとうまみを強く感じました。  都農林総合研究センター江戸川分場の小坂井宏輔研究員によると、鮮度のカギは糖(甘み)とアミノ酸(うまみ)の量。「時間の経過でどんどん減少し、味や色が落ちる。選ぶ際は黄ばんだものは避け、緑色が鮮やかでさやの膨らみが9~10ミリのものを。膨らみが大きすぎると、アミノ酸がたんぱく質に変わってしまい、味が良くない」。黒豆の場合、逆にさやが黄ばんだものを選ぶと良いそうです。  さやのみの形で出荷される枝豆にも鮮度を保つ工夫が。「適度に穴のあいた袋に詰められたものを選んで。枝豆の呼吸を抑制し、袋の中の酸素と二酸化炭素(CO2)の濃度をコントロールすることで長持ちさせます。袋を密閉すると発酵による悪臭の原因になるし、穴が大きすぎてもダメ」と小坂井さん。  季節は秋へ。ゆでる以外のおすすめの食べ方も知りたいところ。都内産農産物のPRに力を入れる都農林水産振興財団は、枝豆をクラフトビールと合わせて楽しむことを提案します。協力飲食店は、スダチと山椒(さんしょう)の利いただしに漬ける、さつま揚げやキッシュに入れるなど多彩なアレンジを考案。担当者は「少量の油を引いて蒸し煮にするフレンチの『エチュベ』や、さやごとあぶって焦げ目をつける焼き枝豆も評判が良い。新鮮な枝豆をブランド化していきたい」と意気込みます。(北村麻紀)

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