近い将来、公立学校教員の給与が上がります。教員はもともと好待遇と言われていますが、それは本当なのでしょうか。そして、なぜいま上げる必要があるのでしょうか。背景と理由を整理しました。【斎藤文太郎】
残業代代わりの教職調整額を増加
Q 学校の先生の給与が上がるって聞いたよ。
A 文部科学省は2026年1月から、公立学校の教員に残業代を支払わない代わりに給料月額の一定割合を上乗せする「教職調整額」について支給割合を引き上げる予定です。また、管理職の基本給・手当や学級担任の手当も増額する方針です。
Q どれくらい上がるの?
A 文科省は教職調整額は現行の4%から3倍以上の13%に増やしたい考えです。40年以上前の教員給与は一般の公務員に比べ7%以上優遇されており、文科省は当時より大きな優遇分の確保を目指しています。実現すれば、月給30万円の教員の場合、教職調整額は1万2000円から3万9000円になります。ただ、予算はまだ確保できておらず、見込み通りに増やせるかは今後の財務省との交渉次第です。
処遇改善で人材引き留め
Q なんで給与を上げるのかな。
A 質の高い人材の確保が目的です。教員は多様化する子どもたちや保護者への対応、部活動などで忙しいです。長時間労働が常態化し、採用試験の倍率も低迷しています。少しでも待遇を良くし、民間や一般公務員に流れる人材を引き留めようというのが文科省の狙いです。
Q 良い先生が集まらないと、子どもにも影響が出そうだね。
A 教員らの労働組合による調査には、教員不足でクラスがざわつくようになったり、安全管理に集中し授業が二の次になったりする、という声も寄せられました。待遇改善だけで人材が集まるかは分かりませんし、現職教員からは「給与を上げたら今まで以上に残業を求められるのでは」という懸念の声もあります。文科省は働き方改革や学校現場の人員増といった負担軽減策も一体的に進めることにしています。
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