特集はブランド化された須坂産(長野県須坂市)のネギです。市内の専業農家がつくるそのネギは肉厚でジューシー。味にほれ込んだシェフが2023年、ネギ料理の専門店を開くなど評判となっています。
■市内の農家が育てたブランドネギ
ネギのステーキに、ネギの天ぷら。
客:
「(前から)気になっていて。ネギだけ食べないじゃないですか、おいしいです」
ここは須坂市に2023年オープンしたネギ料理専門店「ねぎ福」。
まさにネギずくめです。
ねぎ福・福井孝さん:
「みずみずしさと甘さがすごく際立つなと思いました。朝採れのネギをいつももらえるので鮮度も違いますし、手応えはばっちり」
料理に使われているのは「新幸福ねぎ」。市内の農家が育てたブランドネギです。
「新幸福ねぎ」の畑。機械を操って収獲しているのが「生みの親」小林庄二さん(60)です。
「新幸福ねぎ」農家・小林庄二さん:
「自分の子どもみたいに扱っているから、ちゃんと種まいて、お客さんの口にちゃんと入れよって、いつも応援している」
■建設業から農業に
建設会社を営んでいた小林さん。現場を飛び回る多忙な日々を送っていました。家族との時間をもっと大切にしたいと、15年前、転職を決意。前々から興味があった農業にチャレンジしました。
「新幸福ねぎ」農家・小林庄二さん:
「初め農業のことがさっぱりわからなくて、いろんなものを作ってみたけど、全然売れなくて。ある時、直売所の人が(ネギを)出してみないかと言われて出したら褒められて、いい気になって」
白ネギを直売所で販売したところ好評で、小林さんは2014年、会社を設立し、「新幸福ねぎ」として売り出しました。
千曲川沿いの畑は氾濫によって肥沃な土壌となっています。これが栽培に適していたということです。
「新幸福ねぎ」農家・小林庄二さん:
「ちょっとだけ草取ってやったり、あとはもう彼らの力で、どんどん大きくなる」
ネギは肉厚でジューシー。
採れたては切り口から汁がしたたり落ちます。
■台風19号災害で畑が被災
ブランド化に取り組んで5年。全国に販路を広げていた頃ー。
2019年10月、台風19号災害で小林さんの畑も被災。大きな被害を受けました。
「新幸福ねぎ」農家・小林庄二さん:
「これ見たときショックだった。流木やなんか流れてきて、上をみんな潰しちゃってんだよね。もう手に負えないし、農家は自然相手だからしょうがないなと」
■「新幸福ねぎ」を待つ客のため
土砂や流木を取り除き翌年には、通常の生産ができるまで復旧させました。支えになったのは「新幸福ねぎ」を待つ客の存在だったと言います。
「新幸福ねぎ」農家・小林庄二さん:
「自分の出してるネギが評価されて、あっちでもくれ、こっちでもくれって。災害の部分より、お客さんの評価の方が断然強い。喜びがあると、なんでも越えられるような」
収獲は8月から翌年の2月まで続きこの時期は、1日におよそ4000本を収穫します。
徐々に販路を広げていった「新幸福ねぎ」。2023年、大きな動きがありました。
■スーパーが独占契約
綿半スーパーセンター長池店。
綿半 青果担当バイヤー・滝沢秀彰さん:
「こちらが小林さんの『新幸福ねぎ』の販売コーナーになります」
綿半の青果担当バイヤー、滝沢秀彰さん(36)。「新幸福ねぎ」の「鮮度」と「品質」に目をつけ、2023年、「独占販売」を持ちかけました。
綿半 青果担当バイヤー・滝沢秀彰さん:
「非常に品質が良かったので、足を運んでぜひ、うちに出荷していただきたいと猛アピール」
アピールが実り現在、「新幸福ねぎ」の99%は綿半が仕入れ、東北信の7店舗で販売。昨シーズンの販売量は約20トンとネギとしては、異例の売れ行きとなりました。
「新幸福ねぎ」農家・小林庄二さん:
「スーパーの棚に並ぶというのは夢の世界でね、まさか俺の(ネギ)がそこに載るなんて思ってもいなかった、うれしいですよね」
■シェフもほれ込んだ「新幸福ねぎ」
「新幸福ねぎ」にほれ込んだ人がもう一人。冒頭で紹介した「ねぎ福」の福井孝さんです。
長野市内のホテルでシェフとして働いていた福井さん。地元で自分の店を開くのが夢でした。目玉になる地元食材を探す中、「新幸福ねぎ」と出会ったと言います。
ねぎ福・福井孝さん:
「生でも、焼いても、揚げてもおいしいと思って、そこだけでいこうって決めちゃいました」
「ネギ色」で統一された店内で提供する、ネギ料理は約40品。
イチ押しは、ネギのステーキです。
味付けは塩のみ―。
(記者リポート)
「とてもみずみずしくて、ネギ本来の甘み、塩だけの味付けとは思えないほどおいしいです」
■ネギ×ハイボール
こちらは大人におすすめの飲み物。
記者:
「これはいったい何ですか?」
ねぎ福・福井孝さん:
「当店名物の『ネギハイボール』です」
ねぎ福・福井孝さん:
「こちらの須坂市産のみそをつけて召し上がって。ネギをかじりながら、ちびちび飲んで」
記者:
「辛味はあるんですが、みずみずしくて、みそと合って、すごくおつまみに合います。ネギとハイボール、最高ですね」
福井孝さん:
「うちのコンセプトが『ネギ好きと須坂好きが集まる店』なので、みそも須坂市産のみそにこだわっている」
「かんぱーい」
店がオープンすると多くの客がネギ料理を楽しんでいました。
「ねぎダレからあげ」を食べた客:
「おいしかったです。甘いような、全部に合いそうな味」
「ネギの天ぷら」を食べた客:
「ものすごく甘みがあって、サクサクでおいしかったです」
テキーラにネギを浸した「ネギーラ」はー。
「ネギーラ」を飲んだ客:
「効きますね、斬新な組み合わせでおいしかった」
ねぎ福・福井孝さん:
「ネギを食べて元気になってもらって、地域も盛り上がるようにしていきたい。『松本一本ネギ』とか『深谷ネギ』とか、そういう感じになってほしい」
■地道な取り組みで評判に
ブランド化に乗り出して10年。
これまでの地道な取り組みによって小林さんは大きな成果を挙げつつあります。
「新幸福ねぎ」農家・小林庄二さん:
「(現在の評判は)うれしいの一言。もう本当に、感謝しかない。ネギってね、いつも薬味になっているけど、自体を食べてもらって、うまさをもっと知って、ネギのことをもっと知ってもらいたい」
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