『火星の石』が、来年開催の大阪・関西万博に展示されることが決まりました。
世界最大級の火星由来の隕石は、国立極地研究所が保管。17日、公開されました。高さ16センチ、幅29センチで、ラグビーボールくらいの大きさですが、重さは13キロあります。
この隕石は、2000年に南極で発見されました。
発見者の今栄直也さんは、30年前から局地研で、こうした南極の隕石をはじめ、地球外起源物質の調査・研究を行っています。当時、3500個ほど調査した隕石の中で、この石は“異彩”を放っていたそうです。
国立極地研究所・今栄直也博士
「ヤマト山脈の周りに分布する“隕石フィールド”と呼ばれていて、アイスフィールドがありまして、そこで非常にたくさんの隕石を採取した、そのうちの1つ。この隕石の特徴が、氷の上で緑がかって見えてまして、これは何か違うなっていうのは、その時、わかりましたので、帰国してから真っ先に調べた試料の1つになります」
アメリカ航空宇宙局=NASAが4年前に公開した動画。火星探査機の膨大な画像データをつなぎ合わせて作成した映像には、約5キロもの巨大なクレーターが確認できます。
この隕石も、こうした衝突をきっかけに宇宙空間に飛び出し、1000万年以上の時を経て、奇跡的に地球にたどり着いたと考えられるのです。
国立極地研究所・今栄直也博士
「(Q.この石から火星に水があったり、何かわかったか)特におもしろいのは、水の痕跡が粘土鉱物に残っています。水の存在する環境で、風化してできた組織であることは、よくわかってきてまして、それに基づいて火星の表層の環境を知る大きな手がかりが得られるということで、重要な試料の位置づけになっています」
局地研によりますと、実は、月の隕石も、火星の隕石も南極で発見したのは、日本が最初。今回の発見も定期探査のたまもので、今後、日本が世界の最先端を行く分野となるとしています。
1970年の大阪万博では、アメリカ館に『月の石』が展示され、大きな話題となりました。政府も、この『火星の石』を大阪・関西万博の目玉の一つにしたい考えです。
斎藤健経済産業大臣
「生命の起源を示す学術的な価値も高く、万博のテーマである“いのち”に深く関わる展示となります。月を経て火星を目指す人類の挑戦の方向性を象徴的に示すもの」
万博では、この隕石のかけらに触ることもできるようにするということです。
◆『火星の石』の大きさはラグビーボールほどで、重さは13キロ。10キロを超えるものは非常に珍しいそうで、火星由来の隕石では、世界最大級だということです。
※なぜ、火星由来ということがわかったのか。
国立極地研究所などによりますと、「すでに、さまざまな火星の成分分析データがあり、それと照合した結果、火星由来と確認。この隕石には、火星の表層にある“粘土鉱物”が含まれていて、水と反応しないと存在しないものだ」といいます。
過去に、NASAの火星探査の科学チームにいた経験もあり、第64次南極観測隊にも帯同した高知工科大学の西川泰弘特任助教は「“粘土鉱物”を含む火星隕石は、ほとんどが砂漠で見つかっていて、風化したり、地球の成分と混ざってしまう。一方、南極で見つかったものは変質しづらく、詳細に調べられるため、学術的価値が高い」と話します。
1970年の大阪万博では、『月の石』が象徴的でした。
実際、当時のオマージュの側面もあるそうですが、展示の意義について、万博の担当者は「年配の方なら、『行列に並んで月の石を見ようとした』という思い出を語りながら、お孫さんと一緒に今度は火星の石を見るなど、世代を超えた万博体験の共有につながるアイテムになる」としています。
また、隕石の展示方法についても、隕石そのものは触れないということですが、“生命の起源”を考えるうえでも重要としたうえで、研究用に分割した隕石の一部を触れるようにする予定だといいます。
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