県内に甚大な被害をもたらした大雨からきょうで2カ月。被災した鮭川村のホテルは、土砂は片付いたが営業の再開ができず、あの日から時は止まったまま。現在の場所での再建は難しく、移転の選択を迫られている。

鮭川村の羽根沢温泉にある「ホテル紅葉館」。
2カ月前の大雨で裏山が崩れ、ホテル1階に大量の土砂が流れ込んだ。

(ホテル紅葉館・元木洋典専務)
「扉の下くらいまで泥が来た、線がついているあたり」

約1カ月前の紅葉館。1階はほぼ壊滅状態で、全てが泥に浸かっていた。
ホテルを経営する元木さんは、友人たちの力を借りて大量の泥をかき出し、25日に再び訪れると、床はきれいになっていた。

(ホテル紅葉館・元木洋典専務)
「再開に向け直せるように、ほとんど荷物も運び出して準備をしていたが、県によると復旧に2年くらいかかるということなので…」

今回の大雨で紅葉館が被害を受けた原因は、裏山にある県が管理する「治山ダム」が壊れ大量の土砂が流れ込んだこと。
この「治山ダム」が復旧しないうちは、土砂崩れの危険があり営業再開はできない。
元木さんは1日も早い営業再開を望んでいたが、最近になって県から「治山ダムの復旧には2年かかる」と告げられた。

(ホテル紅葉館・元木洋典専務)
「裏山の工事が終わらない限りは安全が確保できないので、営業再開は難しいと思っている」

再建が見通せないこの2カ月、元木さんは「あの日から時が止まったままだ」と肩を落とす。
温泉宿の命である源泉をくみ上げるポンプも、まだ土砂に埋まったまま。裏山の安全性が確保できないうちは直せない。

(ホテル紅葉館・元木洋典専務)
「505号室。ここを見るのが辛いよね、完全に時間が止まっている。本来であればここにお客さんが2人入る予定だった。そのままの状態。それまではここで普通に営業してたんだな…と、これを見ると感じる」

さらに追い打ちをかけたのが20日からの大雨。壊れた「治山ダム」から再び土砂が…。

(ホテル紅葉館・元木洋典専務)
「側溝に入りきらない水がどんどん逃げてきて。下(ホテルの方)に流れてきて、きれいにした場所にまた砂や泥が流れ込んだ」

元木さんは、一度は再建を諦める考えもよぎったと言うが…。

(ホテル紅葉館・元木洋典専務)
「県の今回の支援策を見た時はがく然として、やはり厳しいかと正直思った。それでもいろんな方法が多分あると思うので、いろんな人にまた助けてもらいながら何とか再建させたいと思っている」

いま元木さんは、「移転した上での再建」を模索している。現在の源泉が引ける近くの安全な土地に、新たに旅館を建てることを考えている。
しかし移転には約5億円かかる見通しで、元木さんは事業を続けるには国や県のさらなる支援が欠かせないと訴えている。

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