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 石破茂氏が自民党総裁に就任した。まもなく総理大臣に指名される予定だが、石破内閣の主要ポストはどうなるのか。政治ジャーナリストの青山和弘氏が、取材をもとに分析した。

 まずは「執行部はほぼ固まった」という。菅義偉氏が副総裁に就任し、「麻生太郎氏から菅氏へ。見事な政権交代、事実上のクーデターだ」と語る。「幹事長は、党内で一番安定感のある森山裕氏になる。派手な人よりも、党内をおさえられる人を選んだ」。

 岸田政権の林芳正官房長官は、そのまま留任する。「総理が替わって、官房長官続投は基本ない」。小泉進次郎氏は選対委員長となる。「選挙の顔。裏金議員の公認問題などをやる重いポジションだ」。

 1回目の投票でトップだった高市早苗氏の扱いが「自民党の安定感や、挙党態勢を占う最大のポイントだ」としつつ「ちゃんと処遇しないといけないが、幹事長にする勇気はなかった。高市氏は『幹事長ならやる』と言っていたが、選挙の公認権を渡すと、寝首をかかれる可能性があるから」と説明。

 代わりに高市氏には、総務会長を打診したが、断ったという。「総務会という最高意志決定機関の単なる議長で、高市氏としては面白くない」。幹事長となる森山氏とは、どんな人物なのか。「次の総理を目指すような人ではない。年齢も年齢だ。そういう意味では、石破氏にとっては“安牌”だ」とした。

 高市氏の今後は、「入閣も断り、完全な反主流派になる。分裂の可能性があるほどの禍根を残した」。茂木敏充氏も外れた。「麻生氏らと組んで、高市氏に乗った。岸田文雄総理に『三頭政治を続けないか』と声をかけたが、茂木氏に苦労した岸田氏は石破氏に乗った」。

 「石破氏は非主流派だったため、人脈がない。人脈がある国防族から、岩屋毅氏が外務大臣、中谷元氏が防衛大臣と言われている。わかりやすい側近人事で、ガラリと変わる」と見ていた(9月29日時点)。

 こうした青山氏の分析に、国際政治学者の舛添要一氏は、「党内がガタガタになった時に、選挙をきちんと戦えるのか。主流派と反主流派が対立し、しかも決選投票は僅差だった。ちょっと苦しいのではないか」との見立てを示す。

 元衆議院議員の宮崎謙介氏は「180度ガラッと変わった。一方で残念なのが、結局は派閥政治になったこと。顔ぶれを見ても刷新感がない。何かをしないと、刷新感はゼロ。それで国民の支持は得られるのか。めぐりめぐって自民党らしくなった」と語る。

 青山氏によると、石破政権が短命になることを見越した議員も出てきて、「自民党内の半数が非協力的になる可能性がある。『どこがノーサイドだ』といった雰囲気になり、分断が懸念される」と指摘する。「高市氏への忌避感も強く、消去法で石破氏が勝ったが、非常に禍根を残す結果になった」と締め括った。

(『ABEMA的ニュースショー』より)

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