10月1日から新型コロナワクチンの定期接種が始まります。
  
2024年3月末までは、生後6カ月以上の全世代が自己負担なしで接種可能でしたが、4月からはインフルエンザと同じように65歳以上、また基礎疾患がある60~64歳を対象に費用の一部を自己負担する定期接種となりました。それ以外の人は任意接種で、希望する人が全額自己負担で接種することになります。
  
接種するワクチンには、新しい種類のものも含まれます。その特性について専門医に聞きました。
  
10月1日から始まる定期接種に使われる新型コロナワクチンの種類は、これまでのファイザーやモデルナ製のmRNAワクチンなどの他に、新たに1種類が加わります。それが「レプリコンワクチン」です。
 
福井大学病院の酒巻一平教授は「これまでのワクチンの中心はmRNAというワクチンだったが、レプリコンワクチンは、このmRNAを体の中で増幅することができるので、これまでよりも少ない量を打つことで長い期間免疫が保たれるといわれている」と話します。
 
これまで接種してきたmRNAワクチンは、体内にウイルスのタンパク質をつくることで抗体や免疫を獲得し、その後タンパク質は消滅する仕組みです。一方で新しく加わったレプリコンワクチンは「自己増幅型」という意味の通り、ウイルスのタンパク質を体内で作り続けるため、ワクチンの効果を比較的長く持続させることができるのが特徴です。
 
アメリカで開発されたこのワクチンは、ベトナムや日本で治験が行われ、有効性や安全性が確認されたとして2023年11月、世界で唯一日本で承認されましたが、現在も日本以外では承認されていません。

厚生労働省によると国内のワクチンの供給量はレプリコンワクチンが約430万回分の見込みで、ワクチン全体の割合でみると約1割。ファイザーやモデルナといったmRNAワクチンが約8割を占めます。

県内での流通について酒巻医師は「ほかのワクチンが冷蔵保存できるところ、レプリコンは冷凍保存しないといけない。また、ほかの4つのワクチンが1バイアル(1瓶)で1人か2人分のところ、レプリコンは1バイアル16人分と使いづらい。ほとんどがこれまで使い慣れたものを使うと思う」とします。

ワクチンは一度開けたら一気に使い切ることが必要で、1瓶に16人分が含まれるレプリコンワクチンは医療従事者にとって使用のハードルは高いと予測しています。
 
新型コロナは毎年、夏と冬に感染のピークを迎えています。酒巻医師によると、夏の第11波では高齢者が肺炎になるなどして重症化する人が多かった印象で、理由としては、薬が3割負担で1種類1万円~3万円と高額なため、控える人も多かったからではないかとしています。また酒巻医師は2024年の冬も同じような波がくると推測していて、「高齢者などは感染の波に備えてこの秋冬定期接種をすることを検討してもらいたい」と話しています。


〈新型コロナウイルス・ワクチン接種〉
▼対象は65歳以上の人や重症化リスクの高い60~64歳の人
▼10月1日から3月末までに1回接種
▼費用は3500円ほど(自治体によって異なる)
▼対象外の人は、任意接種。全額自己負担で1万5000円程度(自治体によって異なる)
▼ワクチンの種類は医療機関に問い合わせ可能

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