9月10日に閉山した富士山の開山期間中の登山者数が公表されました。山梨側が減った一方、静岡側は増えていて、静岡県は規制が始まった山梨側から静岡側に流れたとの見解を示し、2025年の規制に向けて検討を進めています。

開山期間中に静岡側では6人が死亡

齊藤力公 記者:
こちら富士山富士宮口5合目です。きょう開山日ということで非常に大勢の登山客が訪れています

2024年の夏山シーズンも多くの登山者でにぎわった富士山。

登山者:
登るときは雨でしたけど(雨が)上がったときは晴れてご来光も見れました

登山者:
スケジュールきつきつだったんですけどなんとかご来光拝めたということで最高でした。

しかし、開山日の午後には天気が急変。大粒の雨が打ちつけ、風が吹き荒れました。

富士山では厳しい訓練を重ねる山岳遭難救助隊でさえ移動がままならないほどの悪天候となる時があります。

静岡側の登山道では2024年の開山期間中に遭難事故が相次ぎ、6人が死亡しました。

2024年・山梨側では規制がスタート

そして、2024年から規制を始めたのが山梨側でした。

山梨側登山道のスタッフ:
リストバンドを見せてください、気を付けて行ってらっしゃい

吉田ルート5合目に設けられたゲートの前でスタッフが確認していたリストバンド。

山梨県が2024年から設けた2000円の通行料を支払ったことを示す通行証です。

2024年は登山者の上限を1日4000人にし、午後4時から翌日午前3時までゲートを閉鎖し山小屋の予約者以外は通過できなくなりました。

混雑緩和と夜通し山頂を目指す弾丸登山の防止が狙いです。

吉田口五合目救護所・堀田麻由美 看護師
やっぱり夜の登山、特に弾丸登山はとてもリスクが高い。リスクがわかっててやるのとやらないのではぜんぜん違いますし、それが今年、ゲートという形で強制的に閉まるという形になったのでルール作りができてよかった

富士吉田市によりますと弾丸登山が目立つ午後9時から午前0時に6合目を通過した登山者は317人で2023年より90.7%減少しました。

山梨県は弾丸登山が大幅に減ったと分析しています。

静岡側は6.4%増 山梨側は16.3%減に

環境省によりますと2024年の開山期間における富士登山者数は2023年と比べ1割近く減り、特に山梨側は16.3%減りました。

一方で静岡側の3つの登山道では2023年より6.4%増え、中でも須走ルートは19.8%増加しています。

県の担当者は静岡側で登山者が増えた要因について「山梨側の入山規制が影響している」との見解を示しています。

静岡県 富士山世界遺産課・岡部晋治 課長代理:
やはり山梨県側からの登山者の一定の流入はあったと考えています。山梨県の方では4時以降は登山道を閉鎖して山小屋の宿泊の予約がない方は登らせないという規制でしたので、それを避けて静岡県側にある一定数の登山者が流れるのではないかということは元々想定はしていました

また、県が試験的に行った山小屋の予約などを事前に登録するシステムについて登山者の管理や混雑抑制に一定の効果があったとする一方で、ある課題も…

静岡県 富士山世界遺産課・岡部晋治 課長代理:
夜間に登山する人 山小屋の宿泊をせずに登る人も散見されたし、中には山小屋の前で寝込んでいたり騒いだりという人も見受けられたと山小屋関係者から聞いているので任意の要請に留まったということの課題感は少しあるのかなと

静岡側も規制導入へ

9月10日の閉山日には鈴木知事が規制を検討する方針を示していて、県は今後 入山料の徴収や夜間の入山規制の導入を念頭に現地調査を行っていく方針です。

県富士山世界遺産課・岡部晋治 課長代理
来年検討していく入山料につきましても基本的には富士山の後世継承に向けた環境保全のために活用していくという基本的な考え方のもと検討していきたい

山梨県では通行料の収入が約3億円にのぼり、2025年はさらに値上げする方針です。

また、午後4時のゲートの閉鎖時間を早め、野宿などを減らす対策も検討しています。

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