気象庁は5月から7月の3カ月予報を発表し「全国的に平均気温が高くなる」と見通しを示した。降水量に関しては県内では「ほぼ平年並み」とのこと。年々、災害も激甚化している。いざというときに身を守るためには「助け合い」の仕組みも重要になる。

<専門家 ハード以外の対策も重要>
東京大学大学院の客員教授で防災行動や危機管理の専門家・松尾一郎さんは「海面水温の変化を見ると確実に温暖化が進んでいる。すでに東北の太平洋側は、過去の平均よりも5℃以上高い。雨は確実に増える。堤防とかハード対策では守り切れなくなる。だから危険な時は、安全な場所に逃げる防災対策が重要になる」と指摘する。

<被災経験者が企画 防災シンポジウム>
2024年4月14日、福島県川俣町で「防災」に関するシンポジウムが開かれた。松尾さんや、福島テレビの斎藤気象予報士・防災士も登壇し、災害の前兆となる気象現象や、とるべき避難行動などについて講演した。
このシンポジウムを企画したのは、令和元年東日本台風で大きな被害を受けた川俣町小島地区の住民たちなど。
山あいにある小島地区は、東日本台風で300ミリを超える大雨が降り、地区を流れる広瀬川が氾濫したことで、住宅2棟が全壊・1棟が流失するなどの被害を受けた。
年々激甚化する災害は、他人事ではない。参加者からは「最近、雨とか風とか経験のないような災害が起きている。自分の事として考え、備えなくてはと思った」「避難の時は、近所の人に”一緒に行くかい”と声を掛けたい」との声が聞かれた。

<要支援者の避難はどうするのか>
住民も参加して行われた、パネルディスカッションでは、課題として「要支援者の避難」があがった。
川俣町地域包括支援センターの宮口正稔所長は「要支援者を限られた時間の中で、どう連絡を取ってどう支援していくかというのが、課題と感じている」と話す。
人口・約1万1000人のうち65歳以上の高齢者が約44%を占める川俣町では、単身の高齢者も250人ほどいる。

<普段からのつながりが大切に>
山に囲まれた一軒家。川俣町の民生委員協議会の齋藤金男会長は、定期的にこの家を訪れる。
1人暮らしの齋藤タケさんは91歳。この日は娘の静子さんが様子を見に来ていたが、過去に大雨や地震で裏の土手が崩れたこともあり、耳の遠いタケさんが1人でいるときに災害が起きたらと考えると、普段からの「つながり」と「支援する側」の連携が不可欠となる。
川俣町の民生委員は50人あまりで、高齢者や障がいを持つ人など1000世帯を日常的に回っているが、そこで得た「どこにどのような要支援者がいる」という情報は、災害が起きた場合に速やかに町へ提供する。
川俣町民生委員協議会の齋藤金男会長は「町や社協の事務局に、現状をつなぐことができる。支援は一人ではできない。地域みんなで取り組まないと難しい」と話す。

<地域コミュニティーが防災に>
地域単位での「共助」の重要性について、川俣町の藤原町長は「自主防災組織が地域にできてくれば、災害が起きた時にそんなに驚かずに対応もできるし避難の指示もできる。原点は地域のコミュニティづくりだと思う」と話し「地域コミュニティは災害時に行政を助けることにもつながる」という。

「普段からのつながり」が「いざというときの助け合い」へ。高齢化が深刻化する地域だからこその「連携」が求められる。

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