アラビカ種の実。見た目から「コーヒーチェリー」と呼ばれ、中にコーヒー豆が入っている=キーコーヒー提供
アラビカ種は現在のコーヒー豆生産の大半を占めます。味や香りなどが人気ですが、とても繊細な品種で、暑さに弱く、寒すぎてもダメ、乾燥してもいけないそうです。 永坂さんは「年間の平均気温が約20度、かつ降雨量1800~2500ミリの地域が栽培に適しているとされています。葉の表面に菌が付着して枯れてしまう『さび病』など、病害虫に弱いという特徴もあります」と説明。そのため、地球温暖化によって、現在の生産者や収量も減少するのではないかと懸念されています。 アラビカ種の産地は「コーヒーベルト」と呼ばれる赤道をはさんで北緯・南緯いずれも25度までの範囲に広がっています。ここに入る主な産地には、たとえば、ブラジルやコロンビア、エチオピアなどがあります。「このエリアの標高が高い場所で、比較的小規模な生産者が農園で栽培しています」(永坂さん) 少しずつ取り上げられるようになった問題ですが、実は10年ほど前から指摘されていました。コーヒーの国際的な研究機関「ワールド・コーヒー・リサーチ」が15年に発表していたそうです。最近話題に上るようになってきたのは、「夏の猛暑やゲリラ豪雨などを経験し、気候変動の影響をより身近に感じるようになってきたからではないか」と永坂さんは推測します。キーコーヒーが直営するインドネシアのコーヒー農園。葉が生い茂る低木がアラビカ種の木
現在、飲料メーカーなどがこの問題に対処するため、生産者の支援や農園の環境保全活動などさまざまな取り組みをしています。キーコーヒーは、インドネシアにある直営農園で、世界各地のアラビカ種の苗木を植えて栽培し、気候変動にも対応できるものを発掘するための試験を行っています。 生産量の減少は、需要と供給の関係上、価格が上昇し、消費者の財布を直撃することを意味します。問題解決のため、私たちにも何かできることはあるのでしょうか。 永坂さんは「まずはこのような問題があると知ってもらい、コーヒーがどんな場所で栽培されているのかなど、生産側への興味と関心を持つことだと思います」と話します。(石井紀代美)◆食の疑問 募集中
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