元気よくジャンプするカマイルカ=青森県の陸奥湾で2024年4月27日午後2時49分、足立旬子撮影
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 4月下旬になり、青森県の津軽半島と下北半島に囲まれた陸奥湾で、例年より早く100頭近い野生のカマイルカの群れが目撃されている。子どもも多く、「まるでイルカの保育園のような光景」(専門家)という。

 背びれが鎌状になっているカマイルカは、大人になると2メートル余りに育つ。

 清川繁人・青森大教授(動物行動学)は27日、陸奥湾でイルカの調査をするため、漁船に乗った。記者も同乗して、津軽、下北両半島の間にある平舘(たいらだて)海峡付近にたどり着くと、海面に鎌のような黒い背びれが見えた。

 大きく育ったイルカが、あちこちで勢いよく水中からジャンプする。その中で、小さなイルカも多かった。

 「約3割が人間でいう保育園児。イルカの世界には赤ちゃんの面倒をみる保育士役がいるんですよ」。清川教授はそう教えてくれた。

カマイルカの群れ=青森県の陸奥湾で2024年4月27日午後2時55分、足立旬子撮影
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 八甲田(青森市)の山々からの栄養豊富な雪解け水と日本海からの暖流がぶつかる陸奥湾内では、プランクトンが大量に発生する。このため、それを求めるイワシが集まりやすい。

 カマイルカは毎年4月にイワシを追ってやってくる。湾内にはシャチなどの天敵がおらず、安心して子育てできる環境という。イルカの数は例年5月ごろにピークを迎える。

 ただ、今年は4月下旬から多くの情報が寄せられている。陸奥湾を運航する定期フェリーからも22日と27日に約100頭の群れが目撃された。

 例年は海水温の上昇とともに6月中旬ごろに湾を離れる。清川教授は「いつまでいてくれるかは、海水温と餌のイワシの動向次第だ」と話した。【足立旬子】

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