Q あくを取ると料理は食べやすくなりますが、栄養が減ってしまうのではないかと心配です。あくを取るこつを教えてください。 A 肉・魚 煮立ったとき / 野菜 短時間で  煮物がほっこり、おいしく感じられる季節ですね。あくはどう取ればよいのでしょう。「ベターホームのお料理教室」講師、大須賀真由美さんは「あくは、料理の仕上がりにとても影響します。適度に取ることが大切です」と指摘します。あくを取ることで減る栄養素はありますが、それよりも、あくを除去する利点の方が大きいと言います。取り方のポイントを大須賀さんに教わります。  まず、あくとは何でしょう。  「食材に含まれるえぐみや渋みなど、あまりおいしくないと感じる成分です。取り除かないと、仕上がりがきれいに見えず、食感もざらつきます」  肉や魚と、野菜では取り方が異なります。  肉や魚は、煮物や煮魚などを煮立てたときに脂肪やタンパク質があくとして出るので、それを取り除きます。こつは、タイミングと火加減です。  汁気の多い料理は、煮始めて沸騰すると鍋の中央にあくが集まります。それをさっとすくい取ります。  「そのためには火加減を強めにして、沸騰したら火を弱めて、あくを取ります。沸騰を続けると、あくが分散してしまいます」

沸騰したら、火を弱めてからあくを取る=いずれもベターホーム協会提供

 好機を見逃さないよう、あくを取るまでは、鍋にふたをしません。煮汁にはうまみや栄養素も溶けていますから、取りすぎないようにしましょう。煮汁が少なめの料理では、所々多めにたまったあくを2、3カ所取ればいいそうです。  メッシュのお玉状の道具が便利です。取ったあくを、ぬるま湯ですすぎながら使います。キッチンペーパーを煮物の表面にかぶせて取り除く方法もありますが、煮汁も吸ってしまう弱点があります。  一方、野菜は種類によって(1)水にさらす(2)ゆでる、といった方法があります。いずれも栄養素をできるだけ損ねないよう、短時間で済ませることが、こつです。  水にさらすのはジャガイモやサツマイモ、ナス、ゴボウ、レンコンなど。ジャガイモやサツマイモは切ったらすぐ水にさらします。長くて5分ほどです。レンコンなどは、白さを保ちたい場合は酢水を使います。  ゆでるのは、あくの強いホウレンソウやシュンギクなどです。手早く作業できるよう、たとえばホウレンソウなら一度に大量にゆでるのではなく、1把の半量ぐらいずつ、茎から湯に入れ、再沸騰したら、すぐ水に取り出します。

あくの強いホウレンソウはさっとゆでて水に取り出す

 ただ最近は、野菜が品種改良され、あくが強くなくなってきています。あくを野菜の味わいと感じれば、好み次第でそのままにしても。また、ナスは油と相性が良く、天ぷらや炒めものなど油を多く使う料理に用いる場合は、水にさらさなくても気にならなくなるそうです。 (鈴木久美子)

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