自民党の裏金事件が発覚後、初めての国政選挙となった3つの補欠選挙。立憲民主党がすべての議席を獲得。自民党は不戦敗も含めて全敗しました。中でも候補者が9人乱立したのが東京15区。選挙は異例の事態となっていました。
■小池氏「あんな選挙初めて」混乱の東京15区
(立憲民主党 新人 酒井菜摘氏(37))「私たちは利権やお金で動く政治ではなくて、国民の声を受け止めて動く真っ当な政治を作っていくことを掲げました。その訴えに一定の理解をいただいたものと受け止めております」
27日の午後3時頃の豊洲、時間を追うごとに増え続ける人。現場には、警察車両から次々に降り立つ警備担当者。数多くの警察官が配置され、警察犬まで投入されました。
異例の展開をたどった12日間の選挙戦。小池都知事が擁立した乙武氏は、序盤から“苦戦”が伝えられました。
(無所属新人(国民・都民ファ推薦)乙武洋匡氏(48))「皆さんと一緒に民主主義を守りたい。選挙をきちんとやりたいんです」
頬を伝う涙…
(小池百合子都知事)「身に恐怖を感じたあんな選挙初めて」
一体、何が起きていたのでしょうか?
選挙戦最終日の午前9時。豊洲の中心部に各陣営が集結。参政党・吉川氏の目の前に…乙武氏の選挙カーが。さらに、ここには須藤氏の陣営も。
「選挙戦の最終日となりました」
そこに立憲・酒井氏の選挙カーが通過しました。約300m先には、維新・金澤氏の陣営も見えます。この日、最も人が集まったのは…
(無所属新人 乙武洋匡氏)「どうか、どうか皆さんのお力、どうか皆さんの一票を、私、乙武洋匡に託してください」
この部分にも、人が集まっているように見えますが…駐車場から演説を聞いている人たちがいました。そして、午後8時に近づきます。
「日本維新の会・金澤結衣でございます。あしたが投票日です」
江東区全域を選挙区とする東京15区。与党は候補者を立てず9人によって争われました。
(NHKから国民を守る党 新人 福永活也氏(43))「高いところから失礼いたします、と申しあげますのも、今ネパールのエベレストの登山に来ていまして」
諸派の福永氏は登山をしながら、YouTubeで政策を訴えました。そして、夜の帳がおりる頃…参議院からくら替えした須藤氏です。
(無所属 新人 須藤元気氏(46))「こんばんは。須藤元気です」
■「もうけんか」混乱の東京15区 警視庁が警告も
一方、候補者乱立で思わぬ事態も…
「帰れ!帰れ!妨害だ」
諸派の根本氏が維新・金澤氏の演説場所に車を停めました。大音量で「質問に答えろ」などと連呼。さらに…
(日本維新の会 新人(教育推薦)金澤結衣氏(33))「どうぞ金澤結衣をよろしくお願い申し上げます」
太鼓を打ち鳴らして候補者に迫る根本氏の陣営。
(日本維新の会 新人 金澤結衣氏)「危ないですよ、けがしますよ」
周辺は怒号が飛び交い、騒然となりました。
(日本維新の会 新人 金澤結衣氏)「怖くなかった、大丈夫?大丈夫だったかな?よかった。子どもたちがですね、本当に怖がっていることが一番私にとっては憤りを感じている」
小池都知事の応援演説でも…
(小池百合子都知事)「さあ始まりました衆議院補欠選挙、この江東区第15区において乙武、乙武さんをどうぞ勝たせてくださいと…」
警視庁は、大音量でヤジをしたりクラクションを鳴らした行為について、聴衆が演説を聴くのを妨害しているという観点から根本氏の陣営に対し警告を発しています。
しかし、立憲・酒井氏の演説会場でも…
「街宣車出して」
(根本氏の陣営の選挙カー)「立憲逃げないでください、逃げないでください」
根本氏の陣営はこうした行為について「選挙妨害と言う方が選挙妨害だ。法律の範囲内でやっている」などとSNSを通じて主張しています。
(立憲民主党 新人 酒井菜摘氏)「選挙妨害は連日続いています。本当に告知ができない中、皆さんにお訴えする場が限られてしまうこと、申し訳ありません。だけど私たちは負けません。政治を変えるために戦っています。どうか皆さま、酒井菜摘、酒井菜摘をよろしくお願いします」
今回の選挙戦。有権者はどのようにみているのでしょうか。
(有権者(60代))「もうけんかですよ。そして、集まっている人に『クソジジイ』とか『クソババア』とかこれはひどいね。本当になぜこんなのが立候補したのか、本当にバカにしているね」
(有権者(20代・30代))「私たち真面目に選挙行くタイプなので。もうやめてくれよって」
「今回は本当に選びようがないというか、無記名というか、書かずに出すのもあるくらいちょっとなんか誰っていうのが」
■小池氏も想定外?自民票めぐり憶測も
そこで選挙戦を左右するのが、約5万票あるといわれる“自公票の行方”です。
過去2回の選挙で当選した自民党衆院議員が「政治とカネ」の問題で相次いで逮捕された東京15区。今回、独自候補の擁立を断念した自民党は、小池知事が推す乙武氏を推薦する方針を決めていましたが…
(無所属新人 乙武洋匡氏)「今このタイミングで自民党から推薦を受けるということは、おそらく逆風になるんでしょうし」
この発言をきっかけに自民党は推薦見送りを決定。公明党も推薦を出しませんでした。フランスから帰国して乙武氏の応援に入ったひろゆき氏は…
(西村博之氏)「本来は自民党の支持を受けて一気に勝つっていうストーリーだったはずなのに、2人とも傷を負って人気がないっていう。机の上で考えることと現実って全然違うんだよねっていうのが、あれだけ老練な小池さんでも分からないっていうのが、やっぱり政治の戦いって面白いなって思いました」
自民党関係者によれば、小池都知事は「乙武氏の発言について謝った」といいます。
(自民党 都連関係者)「小池さんにとっても想定外だった。乙武さんがここまで人気がないというのも想定外だったし、記者会見であそこまで言うのも想定外」
そんな中、自公票の受け皿のひとつといわれるのが…
「飯山あかりでございます。唯一たった1人、真の保守でございます」
諸派の飯山氏の街頭演説には多くの聴衆が集まっていました。
(日本保守党 河村たかし 共同代表)「パッと見てだいたい300人くらいの人が集まってますけど、これはよう飯山さん、これ当選するはずですよこれ、本当にこれ」
さらに…
「日本の教育を変えていきたい、食と健康を政治で後押ししていきたい、そして3つ目、国守り、国守りでございます」
保守系の参政党から出馬した吉川氏。
IR事業をめぐる汚職事件で有罪判決を受けて上告中の元衆議院議員、秋元氏も出ています。
(無所属 元職 秋元司氏(52))「私自身が自民党みたいなものですからね、政策も含めて、中身は一緒ですから。自民党が出さなかったということは私にとっては悪くはないかなと思っています」
一方、選挙戦の中盤、自民党都連の勉強会に出席した小池都知事。「都の成長戦略」がテーマだったといいますが、選挙戦の最中の訪問が憶測を呼びました。最終日、乙武氏の街頭演説会場にいたのは、自民党の平沢勝栄衆議院議員。
Q.小池氏の応援で?
(自民党 平沢勝栄 衆院議員)「いやいや、そんなこと全然関係ない。ちょっと警備を見に来ただけ、こっち(選挙)は全然関係ない」
Q.応援してくれという話があった?
「もう全然そういうのじゃありません」
水面下で、自公票は乙武氏にも流れたのでしょうか?最後の応援演説を終えた小池都知事。記者の問いかけに対して…
Q.知事手ごたえはどうでしたか?
(笑顔でこぶしをあげる)
4月28日『サンデーステーション』より
▶「サンデーステーション」公式ホームページ
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