特集は、「ストレートネック」です。姿勢が原因で首の骨が文字通り、真っすぐになり、肩こりや頭痛などを引き起こす病気です。「スマホ首」とも言われ特に子どもは要注意。予防法などを医師に聞きました。


■激痛…首から肩、肘あたりまで

街角インタビューに応じてくれた諏訪市の小松智美さん(40代)。

体の不調に悩まされています。

諏訪市・小松智美さん:
「つらいです。買い物で重たい荷物持った時に、激痛が走るので。(どこが?)首から肩、肘のあたりまで」

普段はスーパーマーケットで働く小松さん。4年ほど前、ある「病気」と診断されました。

諏訪市・小松智美さん:
「私、『ストレートネック』で、追い打ちをかけてスマホを見てるので慢性的なストレートネック」


■ストレートネックとは?

「ストレートネック」。

いったい、どのような病気なのでしょうか。

長野赤十字病院・出口正男 整形外科部長:
「首の骨、頸椎には自然なカーブが存在します。それがなくなって真っすぐな状態になった状態をストレートネックと呼んでいます・日常生活の習慣の中で、姿勢がだんだん異常を来してきて、気付かないうちに首の骨が真っすぐになっている」


■ポイントは首の骨のカーブ

通常、頸椎は横から見るとS字に湾曲しています。

一方、ストレートネックは文字通り、真っすぐです。

レントゲン写真を並べると一目瞭然です。


人間の頭の重みは4キロから6キロ。

通常は頸椎の湾曲がバネのような働きをして重みを分散させています。


■首の痛みに頭痛、目の疲れや肩こりも

しかし、ストレートネックになると、頭の重みを首や肩の筋肉で支えようとして通常よりも負担がかかり、さらに脊椎の神経も圧迫されます。

すると…

長野赤十字病院・出口正男 整形外科部長:
「(頭の)重みが一気にドンと乗っかって、直接、首の骨、体全体に重みがかかるもので、首の痛みとか、頭痛、目の疲れ、慢性的な肩こりといったことが生じる」


■神経が圧迫されて

重症患者のレントゲン写真。

かなり首が前方に倒れてしまっています。

長野赤十字病院・出口正男 整形外科部長:
「脊髄の神経が圧迫され、手足がしびれたり、動かしにくくなったりということが起こりうる」


■主な原因に長時間のスマホ

最悪の場合、「下半身麻痺」になる恐れもあるという「ストレートネック」。

主な原因はデスクワークやスマートフォンの操作。首を前に曲げた姿勢が長時間続くことで頸椎のカーブが失われてしまうのです。

長野赤十字病院・出口正男 整形外科部長:
「下を向いてスマートフォンをやっていますよね。首が前に倒れることが大きな原因の一つと考えている。使い方次第では、うまく調整していかないと首に影響が出てしまう」

ストレートネックと診断・小松智美さん:
「整骨院とかたまに行ってるが、忙しくて行けないときは常に湿布を貼っている状態」

冒頭で紹介した小松さんもSNSのチェックなどで長時間、スマホを使っていることが原因と指摘されました。

ストレートネックと診断・小松智美さん:
「(スマホの利用は)1日トータルで3時間から4時間くらい。つい見ちゃうけど、時間を決めて見たいと思います」


■長時間のデスクワーク

デスクワークが長時間に及ぶNBSのスタッフも…。

約5年前に診断・嶌田哲也報道部長:
「10年位前から右の首と肩が痛くて5~6年前、医者に行ったらレントゲンを撮られて、ストレートネックだと。先に妻がストレートネックと診断され、『姿勢が悪いからだ』とか言ってたら、俺もか…」


■小まめなストレッチを心がけ

3月診断・漆澤謙治デスク:
「肩こり、首の痛みがあって、耳の奥の方まで痛みが出た。医者から『これはストレートネックだね』と。自然と前のめりになって、同じ姿勢でパソコンを凝視するような形で作業するので、どうしてもそうなってしまう。できるだけ同じ姿勢を長時間しない、ストレッチを小まめにやる」


■でも「スマホは欠かせない」

現代人の約8割が発症しているとも言われるストレートネック。街で聞くと既に知っている人も多く「予備軍」のような人もいました。

「ストレートネック」聞いたことは?

販売業(20代):
「あります。(スマホは)結構触っちゃいますね。気が付くと体勢が悪くなっていることがあるので、定期的に伸ばしたりとか、同じ体勢で長時間いないとか(対策)してます」

大学生(10代):
「パソコン含めて6時間とかですね、スマホが4~5時間くらい。肩こりとかがちょっとあるかな」

会社員(40代):
「(パソコン、スマホは)10時間くらいは使ってる。(対策は)適度に使ったら首回すとか、ストレッチするとか繰り返しだと思う。スマホは日常生活に欠かせないと思うので」


■子どもこそ予防が大切

今やスマホは小中学生も使う時代ですが、出口医師は「子どもは特に注意が必要」と指摘します。

長野赤十字病院・出口正男 整形外科部長:
「子どもの骨というのは、ほとんどが軟骨でできている。成長するに伴って、硬い大人の骨に変わってくるんですけど、真っすぐな状態(ストレートネック)で成長していくと、首の骨の形そのものが、それに見合った前のめりの形に成長していく。筋肉のストレッチで治しましょうとか、なかなかできなくなることがある。子どもに対してこそ、予防というのが大切ですね」


■誰でも簡単に見分ける方法が

ストレートネックか否かをチェックする簡単な方法があります。

長野赤十字病院理学療法士・小池聴さん:
「耳の穴、肩、このラインを見ていただくのがいいかなと」

椅子に座った状態を真横から見た時に耳の穴と肩が一直線であれば心配ありませんが、肩のラインより、耳が前に出ている場合はストレートネックの可能性が高くなります。


長野赤十字病院理学療法士・小池聴さん:
「ストレートネックになってしまう姿勢の一つが猫背。背中が丸まって、頭が前の方に出てしまう」


■役に立つストレッチその(1)

ストレートネックが厄介なのは完治が難しいこと。

そこで予防や症状を和らげるのに役立つストレッチを教えてもらいました。

(1)胸のストレッチ

長野赤十字病院理学療法士・小池聴さん:
「壁に近付いて、同じラインに立ち、手を壁に掛けます。手首が壁に入るように。右足を一歩前に出して、出した足に向かって体重をかけていく。10秒から20秒くらい」

猫背の改善につながり、首が前に倒れるのを抑えられるということです。


■役に立つストレッチその(2)

(2)肩まわりのストレッチ

長野赤十字病院理学療法士・小池聴さん:
「手を上に上げましょう。楽に上がるところまででいいです。両方の肘をぐっと後ろの方に引いてもらいます。肩甲骨を寄せるイメージですね」

椅子に座り、両手を上げた状態から肘をゆっくり大きく後ろへ。(5~10回繰り返す)

長野赤十字病院理学療法士・小池聴さん:
「肩甲骨の内側の筋肉、下の筋肉、これが働くことで胸を張りやすくなります」

長時間、デスクワークなどが続く場合は、1時間おきに行うとよいそうです。

長野赤十字病院理学療法士・小池聴さん:
「5回10回、1分かからないので、ぜひやってほしい」

長野赤十字病院・出口正男整形外科部長:
「気付かないうちに進行している、そういったところで厄介。視線を前に落とさないように、前を見て物を読みましょうといっても、なかなか難しい。合間合間にストレッチを入れたりとか、予防していくことが必要」

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