Q 野菜の値段が高いので、冷蔵庫の使い残しやスーパーの見切り品をうまく活用したいと思っています。おいしい食べ方を教えてください。 A 「配役の妙」楽しんで  少しだけ残ったニンジン、皮が黒ずんだ大根、葉先がしなびた小松菜…そんな面々が冷蔵庫の野菜室に転がっているお宅も多いのではないでしょうか。スープ作家・料理家の有賀薫さん(60)も、残り野菜に頭を悩ませてきた一人です。  食品ロスを出さないためには「残さない」と「残ったらどうするか」の二つを考えるのがポイント。「残さない」について、有賀さんは「野菜の寿命を何となく意識して、最初は大きく、最後は小さく使うのが鉄則」と話します。  例えば大根を丸1本買った場合、まず真ん中のみずみずしい部分を大胆に切り、ふろふき大根や豚ばら肉との煮物など、大根が主役のメニューに使います。残ってしなびた両端は小さく刻んで炒めたり、汁物などに入れ使い切ります。買った頃と比べ失われた水分や風味、香りは、ほかの野菜や肉などと組み合わせて補います。「若いうちは自己主張が強く、年を取ると周りとの付き合い方が上手になる。人と同じです」  「残ったらどうするか」については、黒ずんだりしなびたりした部分を取って使えるか確認し、加熱調理します。生食に向くキュウリなども、細かく刻んで熱い料理に最後に加えるなどすれば意外な味わい。薬味で残ったミョウガや万能ネギなどは一緒に細かく刻んで保存し、一つかみほどのどっさり感で汁物に入れれば、野菜としての新たな魅力に気付きます。  いろいろな具材を取り込める各種スープは残り野菜におすすめですが、気を付けたいのは、どうせ煮るからと何もかも入れないこと。香りの強いセロリやピーマン、とろみの出るオクラや長イモ、色の出やすいナスやマイタケはスープの性格を決めてしまうので、慎重に扱いましょう。  また、余ったニンジンを全部刻んで入れて…などもありがちですが、色も味も強いので「ニンジンの味しかしない豚汁ができたりする。残り物であっても、心を砕いてバランスを考えることは必要です」。  有賀さんが大切にしているのは作るときの心構え。「おいしくないのは、残り物として雑に扱っているから。新しい食材を加えるなど丁寧に料理すれば、ちゃんとおいしくなりますよ」。ドラマのキャストを割り振るように、主役と脇役の具材を組み合わせて楽しむという有賀さん。残り野菜も渋い脇役と考えれば、料理も楽しくなりそうですね。 (前田朋子)

◆残り野菜の豚汁

【材料・3~4人分】 豚こま切れ肉 80~100g 残り野菜  正味700g(根菜500g+葉もの、長ネギ・キノコなど合わせて200gぐらい)※今回は大根、ニンジン、タマネギ、ジャガイモ、白菜、長イモ少量、マイタケ、長ネギ みそ 大さじ3~4 酒 大さじ1~2 あればカニかまぼこやさつま揚げなど練り物 適量 【作り方】 <1>野菜は黒ずんだところや悪い部分を除く。皮のあるものは厚めにむき、食べやすく切る。長ネギは斜め薄切りにして取り置く <2>鍋に切った根菜類を入れて水1000~1100㎖と酒を入れ、中火にかける。沸騰したら中弱火にして煮込む。10分ほど煮たらキノコ、葉もの、豚肉を加えてさらに10分煮る。とろみの出る長イモはここで加える <3>長ネギと練り物を加え、みそで味をつける

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