Q. そもそもマイナ保険証とは

A. 健康保険証の登録をしたマイナンバーカードのことです。

医療機関の顔認証付きカードリーダーなどで、健康保険証としての利用登録をすれば、これまでの健康保険証の代わりになります。

政府は、来月2日に今の健康保険証の新規発行を廃止して、この「マイナ保険証」を基本とする仕組みへの移行を進めています。

今の健康保険証は、12月2日以降も1年間は、使うことができますが、自営業者などが入る「国民健康保険」や、75歳以上が入る「後期高齢者医療制度」の保険証には、それぞれ有効期限(多くが来年7月から8月)があります。

保険証に記された有効期限を確認してください。

「マイナ保険証」に関する詳しい説明はこちらの記事から↓↓↓

「マイナ保険証」12月で健康保険証から切り替え どうなる?

“この書類 資格確認書?”は誤解! マイナ保険証移行まで1か月

Q. 健康保険証を施設に預けるとはどういうこと?

A. 健康保険証は、原則、自分で管理するものです。

しかし、介護や福祉の高齢者施設では本人の認知能力などに応じて施設が預かり、管理するケースがあります。

取材した社会福祉法人では、入所する272人のうち、9割以上の健康保険証を預かっているということです。

どのくらいの施設がこうした対応をとっているかは、国や自治体も詳しいデータは持っていません。

ただ、全国保険医団体連合会が去年春に行った調査では、回答があった全国1219か所の高齢者施設や介護施設のうち、利用者や入所者の保険証を施設で管理していると答えたのは、83.6%に上ったということです。

Q. 預かるのは高齢者施設だけなのか?

A. 国などにデータはありません。

しかし、障害者施設や養護施設、また、病気にかかった子どもを一時的に預かる病児保育などでも保険証を預かることがあるといいます。

Q. なぜ施設はマイナ保険証を預かることをちゅうちょするのか?

A. それは健康保険証には、名前や保険者番号など保険資格の情報のみが載っているのに対して、マイナ保険証は、暗証番号などと合わせれば、税や年金などの個人情報にもアクセスできるからです。

いくつかの施設に取材すると、万一保管中に紛失したり、情報漏えいしたりした時のリスクを考えると、これまでの健康保険証のように預かるのは難しいと話しています。

Q. 国はどう考えている?

A. 国はこの対応策について、マニュアルを作成しています。

マイナ保険証を施設で管理する場合は、紛失防止のため鍵付きのロッカーなどに保管することや、出し入れした場合には管理の記録をつけること、管理を行う職員の範囲を定めるよう求めています。

しかし、取材した施設では、夜間に緊急で受診するケースもあるため、管理者を定めることなどは現実的ではないという声もあがっています。

さらに、基本的にマイナ保険証は暗証番号もセットで管理する必要があります。

Q. マイナ保険証を預ける場合は、暗証番号も教えるの?

A. 国は「暗証番号は、本人確認のために重要なもので慎重に扱うことが望ましく原則として法定代理人以外のものに知らせることは適当ではない」としています。

取材した施設でも、暗証番号をマイナ保険証と一緒に管理することは「施設側の責任が重すぎる」といった声があがっていました。

こうしたことから、国は暗証番号の設定をせずに使えるマイナンバーカード=「顔認証マイナンバーカード」の交付を行っています。

この「顔認証マイナンバーカード」は、暗証番号が必要となるオンラインの行政手続きには使用できませんが、健康保険証としての利用登録をすれば、マイナ保険証として利用できます。

本人確認は、機械による顔認証か、目視による顔確認で行われます。

ただ、取材した施設では、寝たきりや認知症の高齢者の写真をとることについて、「1人の入所者に対して、職員数人がかりで対応しなければいけないほど非常に大変で、現実的ではない」という声があがっていました。

Q. マイナ保険証を預けられない場合はどうしたらいいの?

A. マイナ保険証を持っている人でもマイナ保険証での受診が難しい高齢者や障害者などに対しては、資格確認書を申請し、交付することが認められています。

一方、マイナ保険証を持っていない人には資格確認書が当面の間、申請なしで交付されるということです。

情報はニュースポストまで

12月2日に移行期間が迫るマイナ保険証ですが、取材すると課題は多いと感じます。

私たちは、このテーマを引き続き取材します。ぜひみなさんからの情報をこちらまでお寄せください。

ニュースポスト

皆さんの情報や疑問をきっかけに調査報道を展開するための情報提供窓口です。「声を聞いてほしい」という皆さんからの情報をお待ちしています。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。