▼エンゲル係数 消費支出に占める食料費の割合。19世紀、法則が発見された。生存に必須の食料への支出割合が高ければ通常、他の支出は細る。一般的に所得が上昇するにつれ、この割合は低下するため「生活レベルの高低を示す指標と考えられる」(SOMPOインスティチュート・プラスの小池理人上級研究員)。
長期比較が可能な家計調査(2人以上の世帯、1999年以前は農林漁家を除く)をみると、1960年代前半に38%程度あったエンゲル係数はその後、総じて低下傾向が続いたが、2005年に底をつけた後は再び上昇する年が増え始める。23年は前年比1.2ポイント高い27.8%と、40年ぶりの水準に達した。
総世帯でみると世帯人員による差が目立つ。直近の24年7〜9月期は1人世帯が27%なのに対し、2人世帯が28.9%、3人世帯は29.3%など世帯人員が増えると、より高い水準になる傾向がある。共働きが一般的になる中、子の人数が増えるにつれて食費節約の工夫などに限界が生じることが一因と考えられる。今後の為替動向などによってエンゲル係数上昇は落ち着く可能性があるが、「それに伴い賃上げまで緩やかになると生活レベル向上は期待薄だ」(小池氏)。若い世帯では経済的な理由から希望の数の子をもつことをあきらめる動きも出てきかねない。
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