特集は春の市民農園です。長野市農業公社が運営する市民農園「サラダパーク」。市民が思い思いに野菜作りを楽しんでいます。昨今の物価高の影響で関心が高まる「農業のある暮らし」を取材しました。
くわで畑の土を耕したり、水をまいたり。
ここは長野市農業公社が管理運営する市民農園・通称「サラダパーク」です。
■気になる利用料金は?
市内に4カ所あり一区画の利用料は年間6000円台から8000円台。
最長3年、利用することができます。
■幅広い世代が利用
倉庫にくわやすき、じょうろなどが用意され自由に使えます。
長野市農業公社・木内和朋事務局長:
「高齢者の方から子育て世代まで幅広い世代の方が利用している状況。自身の野菜作りを趣味として始める方、健康づくりというような形で親しむ方。自身で作られた野菜をお子さんに食べてもらう。そういった理由で農園を利用していただいている」
■利用者は「とにかく経済的」
こちら「サラダパーク松代東条」。
近くに住む鈴木康司さん(74)がジャガイモに水やりをしていました。
サラダパーク利用者・鈴木康司さん(74):
「全部うちに持ってきて、うちで食べて、たくさん取れれば近所に配って楽しんでいる」
市役所を退職してから介護施設でも働き、70歳の節目に現役引退。元々、実家が農家だったこともあり、久々に畑仕事をしようと5年ほど前から利用しています。
鈴木康司さん:
「とにかく経済的にいい。まず一番、野菜が高い。家内なんか『野菜が高い』っていろいろ言っている。種からやってますから、そんなにお金かからないで、水さえくれてれば何とかなるもんで」
■「母ちゃん食べて私が作る」
今、育てているのはタマネギやスナップエンドウなど。
家族には好評のようです。
鈴木康司さん:
「母ちゃん食べる方、私、作る方。とにかく、おいしく食べられるようになれば、それはそれでいいかなと」
■「すごくおいしかった」
こちらは、篠ノ井小森にある「サラダパーク小森」。
サラダパーク利用者・星沢奈美さん(57):
「雪菜、つぼみ。アクもないし、茹でてすごくおいしい。甘みも強いですよね」
東犀南に住む星沢奈美さん(57)は13年目の利用者。
「雪菜」はうまく育ったようです。
星沢奈美さん:
「茹でて、削り節かけて、しょう油ちょっとかけて、すごくおいしかった」
■「自分で作ればいっぱい食べられる」
星沢さんは中国東北部・ハルビンの出身。看護師として働いていましたが、結婚を機に日本国籍を取得、2000年から夫の家がある長野で暮らしています。
サラダパークは市の広報誌で知ったそうです。
今、育てているのは雪菜の他にホウレンソウやサニーレタスなど。
星沢奈美さん:
「小さい頃から『野菜いっぱい食べて、いっぱい食べて』とお母さんに言われてたから。今度、自分で作ればいっぱい食べられる。うれしかった」
■利用者同士の交流も
都会暮らしが長く、農業の経験はありませんでしたが、他の利用者から育て方などを教えてもらったそうです。
星沢さん、他の利用者の区画に移って作業を始めました。今では野菜作りを手伝うほどになっています。
星沢奈美さん:
「友達の畑、手伝いして、こっち私の畑。年配だから、75歳くらいだけど足痛いから、たまに手伝いして野菜作って」
他の利用者に野菜を分けることもあり、星沢さんは、農園での「交流」も楽しんでいます。
星沢奈美さん:
「いっぱい(利用者が)来るときは話とか、野菜とか分からない時はみんないろいろ教えて、一緒にやって、それが一番楽しい」
■土を細かくして
篠ノ井杵淵の丸山実さん(70)。ジャガイモを植えるため、畑を耕していました。
サラダパーク利用者・丸山実さん(70):
「細かく土を、どうしてもこれでは植えられないわけ。こういう(柔らかい)状態になっていないと」
こちらを利用して7年。大根などの野菜を育てていますが、そう頻繁には畑に来られないと言います。
丸山実さん:
「(仕事)まだ現役でやっている。(仕事の合間を縫って?)そうそう、だから忙しくなれば、やらなくちゃいけない時期にも全然来られないわけ」
■「畑をやってることが一番幸せ」
丸山さんは室内装飾の会社を50年以上営んできました。15年ほど前に長男が後継者となりましたが今も手伝っています。
飯山の農家で育った丸山さん。年を重ねるにつれ、畑仕事を懐かしむようになり、今は妻と一緒に楽しんでいます。
丸山実さん:
「女房に言わせれば、ここへ来ているのが一番楽しい。家で違う仕事もしていますけど、ここへきて畑をやっていることが一番幸せと。正直な話、買った方が早いんですよ。なかなか来ていられないし、苗もタダではないから。でもやっぱり、こんな条件のいい時とか、こういう時はやはり、畑あって良かったと」
■「愛情かけて作って、食べて」
自分で畑を耕し、育てた野菜。味は格別です。
丸山実さん:
「育てている間は楽しいし、収穫したらその時点でいろいろな反省。『やられちゃったな』とか、『今年は肥料が足りなかったのかな』とか。自分で育てたのは多少虫がついていようが、傷んでようが、出来が悪くても大切に食べます。一生懸命、愛情かけて作ったんだから、愛情かけて食べてあげようと」
市民農園で実現する「農業のある暮らし」。
「小森」、「松代東条」の区画は残り少なくなっていますが、「青池」、「安庭」はまだ余裕があるということです。
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