越前松島水族館の松原亮一館長(左端)が見守る中、飼育員のトレーニングを受ける、のとじま水族館から避難してきたカマイルカの「ニッシー」(手前)と「ゴウ」=福井県坂井市で2024年2月24日、大西岳彦撮影

 能登半島地震で被災した「のとじま水族館」(石川県七尾市)から越前松島水族館(福井県坂井市)に避難していたカマイルカ2頭が19日、約10カ月ぶりに古里の水族館に帰った。松島水族館の飼育員らは大切に育てた2頭の帰郷が名残惜しそうだったが、「返せるということは、のとじま水族館の復興の証し」と笑顔で見送った。

 のとじま水族館は地震で水槽などが壊れ、約90種4000匹が犠牲になった。救援要請を受けた松島水族館は1月6日にカマイルカの雄「ゴウ」「ニッシー」を受け入れた。

のとじま水族館から避難していたカマイルカを返却するため、イルカをクレーンでつるしてコンテナに移す越前松島水族館の飼育員ら=福井県坂井市で2024年11月19日午前7時27分、萱原健一撮影

 この日の作業は午前7時過ぎに始まり、クレーンで1頭ずつコンテナに移してトラックの荷台に積み込んだ。飼育員らは「うちの水族館に慣れてくれるか不安もあったが、絶対に元気な姿で返すという思いで飼育してきた」と振り返った。2頭の健康状態は良く、「責任を果たせてホッとしている」と述べ、涙ぐむ飼育員もいた。

 飼育員の菊地香織さん(43)は「寂しさもあるが、返せる喜びが大きい。石川の皆さんを元気づける姿を見せてほしい」と話した。

 2頭を乗せたトラックは約3時間かけて、のとじま水族館に到着。同館のスタッフは「急きょ引き受けてくれた越前松島水族館に感謝している」といい、健康状態を確認した上で展示を再開する。【萱原健一】

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