米どころ庄内の歴史を今に伝える国史跡「山居倉庫」(山形県酒田市)で、倉庫とともに観光スポットになっているケヤキ並木の樹勢回復に向けた取り組みが始まった。市は並木沿いの石畳の撤去などの対策を試行し、樹勢の衰えが近年目立つケヤキ並木の復活をめざす。
山居倉庫は明治中期の1893年につくられた米の保管倉庫。川沿いに土蔵造りの12棟と、樹齢100年以上のケヤキの大木が並ぶ風景は歴史を感じさせ、多くの観光客が並木沿いの散策を楽しむ様子が見られる。
市などによると、1983年度のNHK連続テレビ小説「おしん」のロケが行われたのをきっかけに観光客が増加し、89年には歩きやすいようにと並木沿いに石畳を設置。だがその約10年後から、ケヤキの樹勢に衰えが見られるようになったという。
市は樹木医などの意見をふまえ、石畳の重みや観光客が歩くことなどで木の根本回りの土が硬くなり、水や空気が土中に入りにくいため樹勢が衰えたと判断し、対策に取りかかった。
11月上旬から、倉庫の1~5号棟の間にある木の幹や枝を切って樹高を低くする作業を実施。19日には石畳を約30メートルにわたり重機で撤去する作業を行うと、石畳の下にも細い根がびっしりと広がっていた。石畳の撤去後は土壌攪拌(かくはん)や土壌改良など様々な方法を試し、今後1年半は効果が出るかどうか観察していくという。
市文化政策課の担当者は「ケヤキ並木が衰えると観光にも影響する。市を代表する観光スポットとして保存・管理していきたい」と話した。(清水康志)
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