プロスポーツ選手の引退後の仕事=セカンドキャリアについてです。プロ野球はオフシーズンに入り、引退や戦力外通告など現役生活に終わりを告げる選手がいます。去年、プロ野球の世界を離れた選手たちの平均年齢は27.1歳で、会社員などと比べてはるかに早い段階で次の道、セカンドキャリアを考えなくてはならないことが分かります。そうした中、去年引退した元楽天イーグルスの投手が野球とは全く別の仕事を選び、人生の次の一歩を踏み出しています。

千坂紗雪アナウンサー
「角田市の田んぼに来ています。稲刈りシーズン、コンバインに乗って作業しているのが、元楽天の石橋良太さんです」

プロ野球・楽天の元選手、石橋良太さん(33)。石橋さんは去年10月に現役を引退し、今は旬の農産物をインターネットで販売するECサイトを運営しています。サイトには石橋さんが直接農家と話をし「もっと多くの人においしさを知ってほしい」と思った商品が並んでいます。

元楽天投手 石橋良太さん(きっかけは?)
「4年、5年前からリンゴ狩りに行っていまして、リンゴをリンゴジュースにして販売できたらなって思って、すごくおいしくて。飲んだことなかったんすよね。現場も見ていたんで思い入れも強くて、これ販売したいなって。そこからですね。そこから農家さんが農家さんを紹介してくれて、なんかもうできるやんってなってやってみました」

石橋さんがこれまで訪ねた農家は50軒以上。この日、収穫を手伝ったコメ農家の遠藤さんとはSNSのメッセージをきっかけに交流を深めることになりました。

コメ農家 遠藤和希さん(26)(Qどうしてメッセージを送った?)
「石橋さんが農業に携わっているというのを聞いて、お力をお借りしたいなと思って。生産者の元に来てもらって体験を通して農家の想いを伝えてくれるのが、農家にとって一番大きい」

大阪府出身の石橋さんは2015年、社会人野球Hondaからドラフト5位で楽天に入団しました。即戦力として期待されながら結果が振るわず、プロ2年目に1度目の戦力外通告を受けました。

元楽天投手 石橋良太さん
「むずすぎた。プロ野球の世界が。野球をしていて、この人らには勝たれへんっていう世界に入っちゃったって感じ。登板して怖さも知った。やばい、俺、野球つらいわって」

プロのレベルの高さにがくぜんとしたという石橋さんですが、育成契約からの再出発で奮起します。プロ4年目、中継ぎとしてあがったマウンドで好投し念願の初勝利をつかむと、同じ年に先発に転向し、ローテーションの一角として8勝を挙げる活躍を見せました。プロではい上がった経験が石橋さんの今の原動力になっています。

元楽天投手 石橋良太さん
「(キャリアハイの)2019年、一軍で1年間投げさせてもらったときって怖いもの知らずでできた。思いっきりできたっていうのがあったので。失敗を恐れず(セカンドキャリアに)入れたというのと、諦めなければ、成功するまでやれば、失敗にならないかなと思って今頑張っています」

石橋さんの今の仕事はECサイトの運営だけではありません。農産物の移動販売、マルシェも行っています。この日は元楽天・枡田慎太郎さんが経営するおでん屋での開催で、石橋さん自身も店頭に立ちました。

石橋さん「楽天の先輩とそういうこと(マルシェ)ができているのが面白い」
枡田さん「一緒に野球以外のところでやれるのを想像してなかったので」

SNSを見たというお客さんがやってきました。

買い物客
「現役時代とはまた違った活躍をされていて、地域貢献じゃないですけど、うれしいなあって」

卸売業者の協力もあり、石橋さんのマルシェは新鮮な農産物を市価よりも安く販売していて、リピーターも多く訪れます。

買い物客
「この前もやっていて安かったから、今、また寄った」

この日も、持ち込んだ野菜は完売しました。

元楽天投手 石橋良太さん
「買って、また後日『買いに来た』とか『安いね』とか言われるのがうれしい。マルシェから店舗を持ったりとか、いろんな目標ができてくると思うので、まずマルシェを頑張る。日々勉強。まだまだ始まったばかりなんで」

野球とは全く違う世界に飛び込んだ「セカンドキャリアルーキー」石橋良太さん。試行錯誤を続けながら、東北の地で新たな歩みを進めています。

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