病院を受診するときに必ず必要になる「健康保険証」。

 あと1週間余りでこれまでの新たな保険証の発行はされなくなり、マイナンバーカードに保険証機能を入れたマイナ保険証への移行が本格化します。

 どんなメリットと課題があるのでしょうか。

 紙やプラスチックでできた健康保険証。病院を受診する際に提示を求められていた保険証ですが、新たな発行は12月1日でストップ。

 マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」への本格移行が目前に迫る中、市民の利用状況を聞くと…

 「マイナンバーカードは持っているけど、保険証の登録手続きはしていない」(マイナ保険証未利用)

 「今のところ、紙の保険証で困ってませんし…」(マイナ保険証未利用)

 「マイナンバーカード自体を持っていない」(マイナカード未利用)

 「たしかに便利になったかなと思うけど、言うほど便利ではない」(マイナ保険証利用)

 「利便性はあるけど、紛失した時のことを考えると不安…」(マイナ保険証利用)

 マチで聞くと、利用率は決して高くない様子。では医療現場ではどう感じているのか。メリットと課題が見えてきました。

 札幌市北区の循環器内科クリニック。月にのべ1500人が来院します。

 「カード式だから紙と違って扱いやすい」(マイナ保険証利用)

 「紙の保険証の方が手っ取り早い。出せばいいから。(マイナ保険証は)慣れればいいけど顔認証が(手間がかかる)…」(マイナ保険証未利用)

 マイナンバーカードに保険証の機能をつけたマイナ保険証。医療機関のカードリーダーでマイナンバーカードを読み込むなどすれば利用できます。この病院では2023年夏ごろから本格運用を始めましたが、利用率は約16%にとどまっています。

 しかし、医療現場ではメリットを感じる声もあがっています。

 「薬の情報や検診の結果が見られるのと、個人情報が自動でシステムに入ってくるので、業務が円滑に進むようになった」(医療事務スタッフ)

 マイナ保険証への切り替えで情報提供に同意すると、医療者側は薬の履歴や過去の特定検診の情報などを見ることができ、より正確な治療方針や薬の処方につなげられる効果が期待できます。

 さらに、医療費控除や高額な医療費を支払った際の申請が簡単になるメリットもあると言います。

 厚労省によりますと9月現在、マイナ保険証の登録率は約8割と高い一方で、利用率は全体の13.8%と低迷しています。

 この病院ではせっかく持参してもうまく手続きができないケースもあるといいます。

 「高齢者の方が多いので機械の使い方が伝わりにくかったり、機械の不具合で保険証が読み取れないこともありました」(医療事務スタッフ)

 マイナ保険証に登録していない人には保険証の代わりに最長5年使える資格確認書が交付されますが、現在の保険証が使えるのは最長でも1年。

 このスピード感には戸惑いの声もあがっています。

 「若干、性急すぎる。高齢者にとっては仕組みを理解するまでに時間がかかるので、できればもうちょっと移行の期間を設けてもいい。資格確認が一番重要なので移行期間で説明が必要な患者には丁寧に説明していきたい」(あさぶハート・心リハクリニック 福島新医師)

 メリットと課題が入り組むマイナ保険証。順調に移行は進むのでしょうか。

 マイナンバーカードを持っていても、「保険証」として使っていない人が大多数を占め、登録が済んでいない人もいる中、今後どうすればいいのでしょうか。

 「マイナ保険証」として利用登録する方法は3つ。
・病院や薬局で申請
・アプリ「マイナポータル」で申請
・「セブン銀行」ATMで申し込み

 これらの方法で登録し、利用を考えてみて下さい。

 現在使っている紙などの保険証は2025年12月1日で使えなくなります。ただ、マイナンバーカードを持っていない人、マイナ保険証に登録していない人には、「資格証明書」が順次発行され、これは最長5年使えるとしています。

 すべての人に関わってくるマイナ保険証への移行。混乱を招かないよう国側には丁寧な説明が求められています。

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