ニューヨーク・タイムズに山口市を推薦したモドさん=山口市で2024年3月27日午後2時59分、福原英信撮影

 米有力紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)の「2024年に行くべき52カ所」に選ばれた山口市。その陰には「名曲は、レコードのB面にある」と、山口の隠れた魅力を見いだし、同紙に推薦した写真家、ライターのクレイグ・モドさん(43)の存在があった。モドさんが語る山口の良さとは?【福原英信】

 来日から20年以上、日本各地を旅してきたモドさんは山口の印象を「友人として受け入れてくれる町だった」と話す。

 モドさんの思う良い町とは、カフェなどの個人が経営する店に活気がある▽若者が町づくりに関わっている▽気持ちよく散歩でき、自然と向き合える――といった特徴があり、山口市は全てを満たしていると強調する。国宝「瑠璃光寺五重塔」は現在改修中だが、「有名な観光地の五重塔よりもその周りにある町に目を向けてほしい」。NYTの記事でも紹介した洞春寺の陶芸工房などを「歩いて、自ら見つけてほしい」と呼び掛ける。山口を訪れた時を「ふらっと入ったお店で会話が生まれ、お薦めの場所を教えてくれて、陶芸工房にたどり着いた。温かい町だった」と振り返る。

 モドさんによると、「行くべき52カ所」は、世界各地のライターの記事を基にNYTの編集部が選び、特集にする。掲載されるまで事前の連絡はなかったといい、「電話やメールが殺到して大変だった」と笑う。

 山口が選ばれた理由について、編集部からは聞いていないとした上で「日本への注目が高まっており、京都や広島などの有名な観光地でないことが良かったのでは」と推し量る。世界遺産の構成資産である萩城下町や秋吉台などで知られる美祢など県内各地に観光地がある中、山口市が選ばれたのは、新幹線駅からのアクセスの良さも一因ではないかと指摘する。

 日本を複数回訪れる外国人観光客も増えているといい、「オーセンティック(本物)な経験を探し、その土地の暮らしを味わいたい人が増えている」と分析。NYTでの掲載により「山口の知られざる魅力を届ける機会になった」と喜んだ。

クレイグ・モドさん

 米コネティカット州出身で神奈川県鎌倉市在住。19歳で来日し、写真家の他にも、デザイナー、ライターとして数多くの本の出版に関わる。代表作は「KissabyKissa」。

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