入浴に関する意識や湯船につかる時期など 実態は 民間調査
SNSではことし4月、疲れたり面倒になったりしてシャワーやお風呂に入るのをやめてしまう人たちを指す「風呂キャンセル界隈」ということばがトレンド入りしました。
そこで入浴の実態について調べようと、都内のマーケティング会社「CCCMKホールディングス」はことし9月、グループのサービスを利用する16歳から69歳までの会員1700人を対象にインターネットでアンケートを行いました。
それによりますと、「入浴に関する意識」の項目では、
▽「入浴は身体だけでなく、自分の心が休まるのに必要な時間」と答えた人が65.8%でした。
一方で、
▽「入浴が面倒だと感じることが多い」と答えた人は39.9%に上り、40代以下の女性の割合が高かったということです。
また、「自宅で湯船につかる時期」を月別に尋ねたところ、
▽11月から3月は70%を超えましたが、
▽7月から9月は50%を下回り、
男女とも40代以降の人は年代が上がるにつれ、年間を通して湯船につかる時期が長くなる傾向にありました。
一方で「自宅で湯船につからない」と答えたのは17.6%で、性別や年代別で見ると最も多かったのが男性が30代で26%、女性が20代で20.6%となりました。
銭湯の数は年々減少
厚生労働省によりますと、全国の一般公衆浴場、いわゆる銭湯の数は年々減少しています。
▽1970年代には1万6000か所を超えていた銭湯ですが、
▽1995年度には1万か所を下回って9741か所に、
▽2012年度には5000か所を下回って4804か所に、
▽昨年度、2023年度は2847か所でした。
銭湯の経営上の問題について、厚生労働省が過去に行った調査では、客の減少や燃料費の上昇、施設・設備の老朽化などがあげられたということです。
厚生労働省では、収益力の向上に向けて「銭湯女子会」や「ランナーズ銭湯」などさまざまな人が訪れるきっかけとなるヒントをホームページに掲載して、業界団体に周知しています。
東京 銭湯の担い手養成講座を開催 実際に経営始めた人も
東京都によりますと、都内には2023年12月末時点で、公衆浴場が444か所あります。
しかし、利用者の減少や施設の老朽化、経営者の高齢化などで、廃業するところが相次いでいて、この10年で262か所少なくなっています。
こうしたなか、東京都浴場組合は、公衆浴場で働くことに興味を持つ未経験者を対象にした「銭湯の担い手養成講座」を2021年から開いています。
講師は、休業していた銭湯を再生して人気の銭湯に育てた実績を持つ、現役の経営者で、組合の副理事長の佐伯雅斗さんが務めます。
講座では、参加者が、浴室の清掃体験や、バックヤードで平釜やボイラーを見学して湯沸かしの仕組みを学ぶほか、休業していた銭湯のリニューアルにかかった費用やその後の収支などの説明を受けるなどして、銭湯経営に必要なノウハウを勉強します。
講座は年に数回開かれていて、毎回、定員を超える応募があり、多い時は100人ほどの申し込みがあるということです。
すべての講座を修了した人は、銭湯の賃貸物件が出たときにその内覧会に参加することができ、講座の受講生のなかから実際に銭湯経営を始めた人もいます。
講師を務める佐伯さんは「担い手がおらず廃業するという声の一方で、銭湯をやりたいという声も聞いていたので、両者を結びつけられたらと考え始めました。一軒でも多く銭湯を残したいと思います」と話していました。
銭湯に併設の“レトロ喫茶店”改修 若い人に人気に
東京 北区の銭湯では多くの人に利用してもらおうと、併設するレトロな雰囲気が残る喫茶店を改修したところ、若い人たちを中心に人気を集めています。
人気を集めるのは1948年から続く銭湯「十條湯」です。
今の建物はおよそ50年前に建てられ、深海の魚を描いたタイル壁画や、かにがデザインされた排水溝のふたなど、あちこちに「昭和レトロ」が残ります。
経営する横山宗晴さん(78)と昭子さん(75)の夫婦は、高齢で病気にもなったことから、5年前に一度、廃業を考えました。
しかし、銭湯の再生に取り組む会社から「なくなるのはもったいない。ぜひ手伝わせてほしい」と言われて支援を受けることにし、クラウドファンディングで400万円の資金を集め、銭湯に併設する喫茶店部分を3年前に大改修しました。
レトロな雰囲気を残しつつ、イスや照明を整備したほか、メニューも一新し、いわゆる「SNS映え」を狙って考案した、金魚鉢のような大きく丸い器に入れたクリームソーダや、ホイップクリームをのせた青いゼリーなどが徐々に人気を集めるようになりました。
「喫茶店で働きたい」と問い合わせが入るようになり、今は大学生を含む若者16人がアルバイトとして働いています。
現在、喫茶店だけの利用者も含め、銭湯全体で以前より2割ほど増えて、一日200人が訪れるようになりました。
26日も常連客4人が午後3時のオープンを待っていました。
26日に利用した男性の1人は「最高だね。この場所がなくならないようにしてほしいです」と話していました。
横山さん夫婦によりますと、銭湯では地下水を使っていますが、沸かすためのガス代の値上がりなどで維持費が年々高くなっているということです。
しかし、利用者がいるかぎり経営を続けたいと考えていて、妻の昭子さんは「やめようかと考えたころもありましたが。若い人の助けを借りてここまできました。これからもできるだけ町の銭湯として続けていきたい」と話していました。
栃木の動物園 カピバラに「りんご湯」プレゼント
栃木県那須町の動物園「那須どうぶつ王国」では、寒さが苦手とされるカピバラに元気に冬を乗り切ってもらおうと、毎年この時期、展示場に温泉を入れた湯船を設置しています。
「いい風呂の日」の26日は、職員たちが特別に、隣の那須塩原市で生産されたおよそ100個のりんごを次々と湯船に浮かべていきました。
3頭のカピバラたちは冷たい風が吹くなかで早速温泉につかり、浮かべられたりんごを食べたり甘酸っぱい香りを楽しんだりしながら、1日限定の「りんご湯」を満喫している様子でした。
動物園には多くの家族連れなどが訪れ、湯船に追加のりんごを浮かべるなどして、かわいらしいカピバラの姿を楽しんでいました。
県内から訪れたという女性は「気持ちよさそうにお風呂に入りながらりんごを食べていて、羨ましいと思いました。元気に冬を乗り切ってほしいです」と話していました。
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