静岡県の川勝平太 知事は、5月10日の辞職を前に県のホームページ上に「退任あいさつ」を掲載しました。この中で、リニア中央新幹線をめぐる問題について、改めて「一区切り」との認識を示しています。
静岡県の川勝知事をめぐっては、4月1日に行われた県庁の入庁式で、新規採用職員を前に職業差別と受け取れる発言をした責任を取り、発言の謝罪・撤回をしたほか、4月10日には県議会議長に対して退職願を提出し、これにより5月10日午前0時をもって自動失職します。
一方、川勝知事は辞職を決断した一番の要因についてはリニア中央新幹線をめぐる問題を挙げ、JR東海が3月に2027年の開業断念を発表したことから「大きな区切りを迎えた。この2~3カ月でリニアの問題が大きく動き、仕事が一段落したということで辞表を提出することになった」との認識を示した上で、4月10日の定例記者会見では「私にとってリニアの問題は厳しい問題だった。国家権力というか政府、それから大企業、営利企業とはいえ公共性を持っているということで国家事業と言っているが、一方、南アルプスは国立公園で、これを保全するのは国策。ユネスコエコパークなので、これを保全するのは国際的な日本の責務だと思っている。こうした大義名分があり、地元の声も体に受けながら戦うのは厳しいものがあった。言ってみれば孤軍奮闘」と述べていました。
こうした中、川勝知事は5月1日、リニア中央新幹線をめぐる対応についても触れた「退任あいさつ」を県のホームページ上に掲載し、この中で改めて「一区切り」「私は役割を終え」と記しています。
川勝知事の挨拶文の全文(原文ママ)は以下の通りです。
川勝知事の退任挨拶全文
昨年は、コロナがほぼ終息し、富士山が世界遺産登録10周年を迎え、国が選定した「東アジア文化都市2023静岡県」は大成功でした。
「あさみどり 八十八夜の初摘(はつつみ)の 新茶寿(ことほ)ぐ富士の霊峰」-新茶を味わうひと時にまさる幸せはありませんね。
いま、開催中の「浜名湖花博2024」では、色とりどりの美しい花々と絶品の食文化が楽しめます。お茶もお花も食も、その源は“水”です。
富士山は気高い父のように、南アルプスは優しい母のように、生命を育む清らかな水を恵んでくれます。“命の水の保全”は私たちの使命です。
南アルプスの自然環境と水資源を守るため、私は全力を傾注しました。去る3月末、JR東海は事業計画の変更を明らかにし、結果、水資源・自然環境保全とリニア実現の両立に向け、十分に議論する時間が確保できました。一区切りです。私は役割を終え、今月9日に辞職します。
過去15年間、皆様に懸命に奉仕し、“富国有徳の美しいふじのくにづくり”に渾身の力を注ぎました。それが出来ましたのは、ひとえに、皆様の温かい御支援の賜物です。
光を浴びて流れるきららかな水のように命を輝かせてください。
皆様の御健勝と御多幸をお祈り申し上げます。ありがとうございました。さようなら
令和6年5月1日 静岡県知事 川勝平太
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