並ばずに入店できる「ファストパス」がラーメンにも導入されたと話題になっています。
今回店を訪れると、ある現象が起きていました。

テーマパークなどでおなじみのファストパスは、チケット代に料金を上乗せして支払うことで、行列に並ばずにアトラクションを楽しめるサービスです。

今、飲食店でもファストパスを導入する店が徐々に増えてきているそうです。

今回訪れたのは東京・銀座にあるラーメン店「銀座 八五」。
一番人気のメニューは「ラビオリグルマンディーズ中華そば」、お値段何と1杯2200円です。

鴨や鶏をベースに貝柱やシイタケなどを組み合わせた、深いうまみを感じられるスープは絶品。
麺も老舗の製麺所から仕入れたこだわりの麺で、ひと口すするとスープの香りを口に運んでくれます。

「ミシュランガイド東京」で星を獲得したことがあるこの店も、2023年の11月からファストパスの導入を始めたそうです。

予約サイトで500円のファストパスを購入すると、待ち時間を短縮してこのラーメンを食べることができます。

店主の松村康史さんにファストパス導入のきっかけを聞きました。

「銀座 八五」店主・松村康史さん:
夏の暑い日や冬の寒い日に、3~4時間並んでいただくのは非常に心苦しい、申し訳ない。

訪れるお客さんの中には外国人観光客の姿も目立ちます。
午前中はファストパスの対象ではないため、店の前に行列ができていましたが、その後、ファストパスで入店できる時間になると、店員にスマートフォンの予約画面を見せて次々とお店の中へ入っていきます。

では午前中から並んでいた“ファストパスなし”のお客さんに話を聞きました。

30代:
並びました、だいぶ並びました。(Q.何時から?)(午前)8時15分です。

食事を終えた海外のお客さんに、500円でのファストパスについて聞いてみました。

アメリカからの観光客:
(500円は)リーズナブルで高くないし妥当、たった3~4ドルなので。アメリカでは、おいしくないラーメンもこの店より高い。

ポルトガルからの観光客:
列に1時間や1時間半並ぶより楽。予約をしてその時間に行けるのもいいと思う。

おおむね好評のようですが、その一方でこんな現象も起きているそうです。

台湾からの観光客:
チケットが1分で売り切れてしまったので手に入りませんでした。

この店では毎週土曜日に、次の火曜日以降のファストパスの予約受付が始まるのですが、1日48席の予約が毎回数秒で埋まってしまうといいます。

改めて、ラーメン店「銀座 八五」のご主人にファストパスを取り入れてからのお客さんの反応について聞きました。

「銀座 八五」店主・松村康史さん:
予約というのは高級レストランというか、すごく客単価の高い店が導入しているので、ラーメン屋で(導入するのは)果たしていかがなものかという思いもあった。お客さんからは「並ばなくて食べられるというのは500円以上の値打ちがある」と言われている。

そして日本人のお客さんにもファストパスについて聞いてみました。

30代:
ラーメン好きなのでよく行くんですが、週に2~3回。人気の店はどうしても並ばないといけない。並ぶ余裕があるときはいいんですけど、余裕ないとき・時間指定で行きたいときは利用する。(ファストパスに)全く抵抗ないです。

予約サイトを見ると、この店以外にもファストパスを導入している飲食店は関東や関西を中心に40店舗以上ありました。

中には、メニューの料金よりも高い、ファストパスが2000円以上という飲食店もありますが、それでも予約困難な店もありました。

専門家の永濱利廣さんにファストパスのメリットについて聞きました。

第一生命経済研究所 首席エコノミスト・永濱利廣さん:
インバウンド客は観光で忙しいので、長蛇の列に並ぶ時間は非常に貴重。ファストパスを利用して待ち時間を減らし、観光・ショッピングを楽しんだり、時間を増やせる。言語の壁もありますから、ファストパスを使うことで、スムーズに入店して快適な食事時間を過ごすことができる。

「タイムイズマネー」という言葉のとおり、滞在時間が限られる外国人のお客さんも視野に、今後もファストパスを導入するお店増えていくかもしれません。

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