JR久留里線の久留里-上総亀山間を走る車両=千葉県君津市で24年7月14日午後2時3分、浅見茂晴撮影

 JR久留里線(32・2キロ)を巡り、JR千葉支社の土沢壇支社長は27日の定例記者会見で、同線の久留里―上総亀山間(9・6キロ)について「新たな交通体系へのモードチェンジをできるだけ早く進めたい」と述べ、バス運行への転換を進める事実上の廃線を表明した。

 千葉県と君津市、沿線住民代表などでつくる「沿線地域交通検討会議」が先月まとめた報告書を受けた発言。土沢氏は会見に先立ち、既に同市の石井宏子市長にバスへの転換と地域振興に取り組む考えを伝えたという。今後、市地域公共交通会議で具体策を話し合う。

 土沢氏は会見で、鉄道による大量輸送が「地域のお役に立てていない」と述べ、定時定路線のバスへの転換を示した。バスはJR久留里駅で接続し、現在の鉄道以上の本数を確保。柔軟にルートを設定して、乗車場所も増やす考えだ。

 土沢氏の表明を受けて熊谷俊人知事は「地域住民に利便性が高く持続可能な交通体系が構築されるよう、県も協力していきたい」とコメントを発表した。

 JRによると、現在の同区間の一日の運行本数は上下17本。2023年度の平均通過人員は1日64人で、JRが発足した1987年の823人と比べて、92・2%減少した。その結果、100円の収入を得るのに1万3580円の費用がかかった計算で、同区間の収支率はJR東日本管内で3年連続ワーストだった。

 2023年3月に始まった検討会議は、住民アンケートや5回の会議で報告書をまとめ、「鉄道は輸送量が過剰」「観光客の新規需要を創出しても利用客の増加は見込めない」と指摘。公的資金を投入した維持を「納税者の理解を得ることは極めて難しい」として、バスへの転換を「有力な選択肢」と結論づけた。【浅見茂晴】

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